質問主意書

第164回国会(常会)

質問主意書


質問第七三号

捕鯨に対する日本政府の方針に関する質問主意書

右の質問主意書を国会法第七十四条によって提出する。

  平成十八年六月九日

喜納 昌吉   


       参議院議長 扇 千景 殿



   捕鯨に対する日本政府の方針に関する質問主意書

 今月十六日から二十日まで、国際捕鯨委員会(IWC)の第五十八回総会が、カリブ海のセントクリストファー・ネイヴィスで開かれる。日本政府は商業捕鯨再開を求めて会議に出席するが、政府の立場に幾つかの疑問がある。
 そこで、以下質問する。

一 水産庁は、日本の基本的立場として、「食習慣・食文化については、相互尊重の精神が必要」などの理由で、商業捕鯨再開を求めている。だが、敗戦後の食料事情が極めて悪かった時期の鯨肉食はさることながら、その後、日本人の食習慣、とりわけ肉食は大きく変化し多様化しており、鯨肉は「必需品」とは言えない状況になっている。「食習慣」という観点から見れば、「珍味」として受け入れられている程度であって、広範な食習慣としては「すたれている」と言っても過言ではないと考える。政府は、この点をどう捉えているのか示されたい。
 また、「食習慣」を国際会議などの場で強調することによって、あたかも現代の日本人の多くが鯨肉を食べる習慣を維持しているかのような印象を国際社会に与えるのは、市民、納税者、有権者として、はなはだ迷惑なことである。このような「偽装食習慣」の主張が、日本人に対する印象を悪くし、結果として、日本外交に否定的影響を与えてきたのは否定しがたい事実であり、政府は、「食習慣」を強調する戦術をやめるべきと考える。この点に関し、政府の見解をその理由とともに明らかにされたい。

二 現在の「調査捕鯨」で生活している人々及び利益を上げている法人、団体、組織の関係者の合計数を明らかにされたい。また、その利益の昨年度実績をそれぞれ明示されたい。

三 外務省予算に計上されながら水産庁が使っている「水産無償資金協力」の昨年度の執行状況を詳細かつ具体的に明らかにされたい。

四 「水産無償資金協力」の大部分は、IWCで日本の立場を支持する加盟国を増やすため、つまり「票買い」のために費やされていると聞いている。昨年、この目的で費やされた金額を明示されたい。また、資金の使途を提供先、援助案件、日時などとともに具体的に明らかにされたい。

五 昨今、ODA一本化が強く叫ばれているが、水産庁は「水産無償資金協力」による「票買い」等を行使しにくくなるためODAの一体化に反対していると聞いている。この点に関し、政府の見解を示されたい。

六 財団法人日本鯨類研究所は、いつ、どのような目的で設立されたのか、また、前身団体、前身企業などをどのように承知しているのか明らかにされたい。

七 財団法人日本鯨類研究所は毎年十億円の国庫補助を受けているとされるが、その使途と目的を明らかにされたい。

八 独立行政法人水産総合研究センターの設立の経緯、目的、年間予算を明らかにされたい。

九 日本では、「調査捕鯨」の名目で鯨を大量に捕獲し、鯨肉の在庫がたまりすぎているとされる。現在の日本の鯨肉の在庫状況を明らかにされたい。また、在庫をさばくために、どのような市場開発活動をしているのか。

  右質問する。