質問主意書

第164回国会(常会)

質問主意書


質問第六〇号

天下りについての情報公開に関する質問主意書

右の質問主意書を国会法第七十四条によって提出する。

  平成十八年五月三十一日

富岡 由紀夫   


       参議院議長 扇 千景 殿



   天下りについての情報公開に関する質問主意書

 国家公務員の再就職状況の公表については、各府省において毎年度一回、退職した職員の再就職の状況を公表するとともに、内閣官房及び総務省においてこれを総括して公表しているところである。しかし、天下りの実態に関する情報公開としては、極めて不十分と言わざるを得ない。
 そもそも天下りに関する国民一般の批判は、公務員が官庁の関与により、単に公務員であったことを理由に、有利な条件で営利企業や非営利法人に再就職できるという点にあると考えられるが、現行制度ではそれが十分に明らかにされておらず問題である。また、天下りのうち特に問題にすべきものは、公務員が退職後に何度も企業、法人を渡り歩き、極めて高額の報酬と退職金を得る、いわゆる渡り鳥と呼ばれる天下りであるが、これについて現行制度では、まったく知ることができない。
 そこで、以下質問する。

一 再就職状況の公表においては、官の斡旋、仲介等による就職(官が職員に斡旋、仲介した場合等、職員の再就職について官が何らかの関与をした場合をいう。以下同じ。)についての状況を明らかにする必要がある。
 そこで、官の斡旋、仲介等により就職した過去十年間の国家公務員の退職者について、各府省退職時の役職名、再就職先の名称、役職、在職期間、報酬額及び退職金額を示されたい。また、再就職が繰り返されているのであれば、さらなる再就職先についても同様に示されたい。

二 政府は、「国家公務員の退職後における再就職の状況は、公務を離れた個人に関する情報であり、一般に政府が把握すべき立場にはない」との答弁を行っているが、官の斡旋、仲介等による就職の場合には、このような論理は通用しないと考える。
 官が自ら再就職先を斡旋、仲介等した者について、退職後に何の情報も保有していないということは考えられない。また、今日における天下り問題の深刻さと国民の批判の強さにかんがみれば、官の斡旋、仲介等による就職については、情報公開を行う必要があり、個人情報に該当する場合でも一律に非公開とすべきではないと考える。さらに、行政の民主的統制の観点から情報公開法に基づき、「何人も」文書の開示請求ができることになっているが、この場合、請求に係る文書に不開示情報が記録されていても、「公益上特に必要があると認めるとき」は開示できるという、公益上の理由による裁量的開示に関する規定がある。
 国会議員による内閣に対する質問は、これとは法制を別にするものではあるが、情報公開法の思想は高く評価され、大いに参考にされるべきである。国民の代表である国会議員が行政の統制を行うことは、公益上の必要が特段に高いことから、内閣はとりわけ誠実な対応が要求されると考える。すなわち、議員の質問に対する答弁においても、情報公開法の思想に基づき、官の斡旋、仲介等による就職については情報の公開を行う必要があると考える。
 これらの意見に対する内閣の見解を明らかにされたい。

  右質問する。