質問主意書

第164回国会(常会)

質問主意書


質問第四八号

普天間飛行場のキャンプ・シュワブ沿岸への移設に関する質問主意書

右の質問主意書を国会法第七十四条によって提出する。

  平成十八年四月十二日

糸数 慶子   


       参議院議長 扇 千景 殿



   普天間飛行場のキャンプ・シュワブ沿岸への移設に関する質問主意書

 平成十八年四月七日、額賀防衛庁長官と島袋名護市長は、米軍普天間飛行場のキャンプ・シュワブ沿岸部への移設で合意し、「普天間飛行場代替施設の建設に係る基本合意書」(以下「本基本合意書」という。)を取り交わした。本基本合意書では、先に日米安全保障協議委員会で合意した中間報告における沿岸部案(以下「沿岸案」という。)と比較して、滑走路を二本設ける等大幅な修正がなされている。
 しかし、この新たな案の具体的な内容は、現時点では全く明らかにされていないことから、基地を抱える沖縄県民の不安はますます大きくなっている。
 そこで、本基本合意書及びこれに基づく新たな案(以下「沿岸修正案」という。)について、以下質問する。

一 平成十四年七月二十九日、当時の沖縄及び北方対策担当大臣、防衛庁長官、外務大臣、沖縄県知事及び名護市長が合意した「代替施設の使用協定に係る基本合意書」には、安全・騒音対策、環境対策、代替施設への立入り、騒音対策のための適切な司令部の責任の四項目が提示されている。今回の本基本合意書の4においては、「政府は、・・・『代替施設の使用協定に係る基本合意書』を踏まえ、使用協定を締結するものとする。」とされている。これは、平成十四年に合意された四項目を遵守し、使用協定を締結するものと理解されるが、四項目に係る政府の具体的方針をそれぞれ明らかにされたい。

二 本基本合意書の5において、「政府は、米軍再編の日米合意を実施するための閣議決定を行う際には、平成十一年十二月二十八日の『普天間飛行場の移設に係る政府方針』(閣議決定)を踏まえ、・・・」としている。平成十一年の閣議決定は、軍民共用空港や十五年使用期限問題等を念頭に置いているものであるが、今回新たに閣議決定を行う際にも、これらの点を踏まえた決定が行われるのか、政府の見解を示されたい。

三 稲嶺沖縄県知事は、明確に沿岸修正案の受入れを拒否している。普天間飛行場の移設については、名護市はもとより、沖縄県全体の合意が最優先されるべきだと考えるが、政府は今後、沖縄県の意見をどのように反映させていくのか明らかにされたい。

四 沿岸修正案は、二本の滑走路をV字型に設けるものであるが、その埋立て面積は、「沿岸案」と比べどの程度拡大しているのか。

五 沿岸修正案は、二本の滑走路を建設するとしているが、滑走路の長さ等、その施設規模を明らかにされたい。

六 沿岸修正案に係る予算の概算を示されたい。

七 沿岸修正案は、明らかに埋立て面積が拡大するとみられることから、環境面に及ぼす影響は「沿岸案」より大きいと憂慮されるが、環境面での比較検討はなされたのか具体的に示されたい。

八 政府は、公有水面の埋立て許認可権を県知事から国に移すための特別措置法案について、私が提出した「日米安全保障協議委員会の中間報告に関する質問主意書」(第百六十四回国会質問第五号)に対する答弁書の中で、「政府としては、御指摘のような『特別措置法案』の提出を検討しているわけではなく、・・・」と述べている。
 沿岸修正案の実現には公有水面の埋立てが欠かせないが、政府は、改めて公有水面の埋立て権限を国に移す特別措置法等を検討しているか明らかにされたい。

九 本基本合意書の2において、「同事業の実行可能性に留意して建設することに合意する。」とあるが、これは、あらゆる事態に備え、かつ実行に移すと理解されるが、このような理解で良いのか政府の見解を示されたい。

  右質問する。