質問主意書

第164回国会(常会)

質問主意書


質問第二八号

在日米軍横田基地の軍民共用化等に関する質問主意書

右の質問主意書を国会法第七十四条によって提出する。

  平成十八年二月二十一日

緒方 靖夫   


       参議院議長 扇 千景 殿



   在日米軍横田基地の軍民共用化等に関する質問主意書

 東京都の在日米軍横田基地は、長年、航空機騒音により基地周辺に多大な負担と苦痛をもたらしてきた。この問題では、損害賠償を認める判決が下されたものの、被害は今も続いており、根本的な解決はいまだ図られていない。さらに、現在日米両国政府がすすめる在日米軍再編に関し発表された、「日米同盟・未来のための変革と再編」と題する報告書(以下「合意文書」という。)では、軍民共用化が「検討」事項とされたことに対し、周辺自治体や多くの住民の間から、騒音被害の拡大と基地の恒久化への懸念や再編への反対が広がっている。
 そこで、横田基地にかかわる問題について、以下質問する。

一 首都に広大な米軍基地が置かれている問題について

1 首都東京に広大な外国軍基地が居座っていることは、沖縄における米軍駐留の現状とともに、異常な米軍基地国家である日本の実態を典型的に示すものである。独立した国でありながら、この状況を許している政府の姿勢が問われる。政府はこの状況を解消する必要を認めないのか。
2 ローレス米国防副次官の昨年九月の議会証言によれば、日米間の協議において、横田基地の第五空軍を維持するよう日本側が希望したと述べている。なぜそのような要求をしたのか。

二 再編案実施による騒音問題への影響と軍民共用化の検討について

1 再編案の実施にともない、横田基地周辺地域での騒音はどう変化するか。また、昨年、この地域では防音工事対象区域が縮小されたが、再編後、この区域は現状のままでよいと判断しているのか。
2 自治体は国に対し、防音工事対象区域を決める際の基準値を、国の環境基準に合わせるよう見直しを求めてきたが、この要求は受け入れられないままとなっている。対応を改める考えはないか。
3 合意文書は、横田基地について軍民共用化が「検討される」としているが、騒音の拡大の可能性は、どのように考慮されるのか。
4 政府は米国側に対し、現時点までに、どのような共用化の在り方を提起し、それに対し米国側はどのように回答しているか、具体的に明らかにされたい。
5 軍民共用化は騒音被害が拡大するうえ、基地の固定化につながるとして地元自治体から反対の意思が表明されてきた。それにもかかわらず、関係自治体の合意を得ないまま、小泉内閣総理大臣が日米首脳会談でブッシュ大統領に要請し、「検討」が行われることは、自治体無視もはなはだしいといわざるをえない。関係自治体の意見を尊重するなら、合意が得られていない時点での検討をやめるべきではないか。

三 損害賠償金の肩代わりの問題について

1 横田基地訴訟及び新横田基地訴訟においては、裁判所が住民への損害賠償を認める判決を下してきた。日米地位協定第十八条五項(e)(i)(以下「本規定」という。)は、米国側の賠償金負担率を七五%と定めているが、本規定に従えば、これらの訴訟において裁判所より示された賠償金総額のうち、米国側が負担すべき金額はいくらになるか。
2 1で示した賠償金額のうち、米国側が現在までに実際に支払った金額はいくらか。
3 1で示した賠償金額のうち、日本政府が立て替えて支払ったまま、返済されていない金額はいくらか。
4 本規定は日本政府が負担すべき負担率を二五%と定めているが、本規定に従えば、これらの訴訟において裁判所より示された賠償金総額のうち、日本側が負担すべき金額はいくらになるか。
5 日本政府が現在までに実際に支払った賠償金総額はいくらか。
6 米国政府は、賠償金を日本政府に肩代わりさせる態度をとっている。米国側負担率にもとづく賠償金は日本でなく米国政府が支払うべきと考えるが、政府はなぜ肩代わりを認めるのか。
7 賠償金支払いに応じない米国政府の態度についてどのような認識をもっているか。この問題は日米協議において直ちに解決されるべきであると考えるが、政府は米国に対し、賠償金支払いについてどう提起しているのか明確にされたい。

四 横田飛行場と空域について

 合意文書は横田空域の「削減」や「日本の管制官の併置」などを選択肢にあげているが、嘉手納ラプコン(空域)のように、横田空域を全面返還する計画はないのか。ないとすれば、それはなぜか。

  右質問する。