質問主意書

第164回国会(常会)

質問主意書


質問第一六号

防衛庁及び在日米軍の弾道ミサイル用新型警戒監視レーダー配備に関する質問主意書

右の質問主意書を国会法第七十四条によって提出する。

  平成十八年二月十三日

大田 昌秀   


       参議院議長 扇 千景 殿



   防衛庁及び在日米軍の弾道ミサイル用新型警戒監視レーダー配備に関する質問主意書

 昨年十月二十九日の日米安全保障協議委員会において合意された、在日米軍再編に関する「日米同盟・未来のための変革と再編」(以下「中間報告」という。)には、米軍の弾道ミサイル防衛(MD)用新型警戒監視レーダー「Xバンド・レーダー」の日本への配備が含まれている。これに関連して、米軍関係者は昨年十二月初め、配備先の「最有力候補地」と報じられている青森県つがる市の航空自衛隊車力分屯基地の現地調査をしたと承知している。
 一方、防衛庁はMD用の将来警戒管制レーダー「FPS-XX」の開発に向けて、平成十一年度から防衛庁技術研究本部第二研究所飯岡支所(千葉県旭市)において同レーダーの試作機を使用して試験・研究を進めてきた。その結果、平成十八年度から試作機の実用運転の訓練等に入るとともに、「FPS-XX」を鹿児島県・下甑島、新潟県・佐渡、青森県・大湊、沖縄県・与座岳の四か所に順次配備することにし、その施設整備等のために本年度予算案において予算措置を講じている。
 在日米軍再編の「中間報告」では、在日米軍司令部が米軍横田基地に自衛隊との間で「共同統合運用調整所」を設置するとともに、現在府中市に所在する航空自衛隊航空総隊司令部が米軍横田基地に移転し、米軍第五空軍司令部と併置することによって、防空及びミサイル防衛の司令部組織間の連携を強化し、同調整所を通じて関連するセンサー情報を共有していく方向が示されている。これは、米国本土を狙う弾道ミサイルを探知し追尾する「Xバンド・レーダー」と、防衛庁が配備する「FPS-XX」のレーダー情報を日米で共有し、緊密な補完態勢を取っていく考えであると解される。
 そうだとすれば、米国本土防衛のMD網に日本が組み込まれ、米国本土を狙った弾道ミサイルの監視情報を米国側に提供することによって、日本政府にとって日本国憲法が禁じている「集団的自衛権の行使」に踏み切らざるを得ない事態に陥ることが危惧される。
 また、高出力の電力と強力な電波を使用する軍事用のレーダー及び通信施設に起因すると見られる周辺での電波障害が、過去多数、全国各地で起きたことを思い起こせば、本件の両レーダーによっても同様の心配を禁じえない。
 よって、次のとおり質問する。

一 米軍の「Xバンド・レーダー」について

1 「Xバンド・レーダー」とは一体どのような施設なのか、その目的及び機能、規模、配置要員数等の概要をどのように承知しているのか示されたい。また、このレーダーの製造事業者並びに本体の価格及び関連施設を含めた経費の総額をどのように承知しているのか明らかにされたい。
2 「Xバンド・レーダー」が使用する電力や電波等によって周辺に電波障害を引き起こす可能性はないのか、所見を示されたい。
3 「Xバンド・レーダー」の日本への配備に向けて、米軍関係者が昨年末、青森県つがる市の航空自衛隊車力分屯基地を現地調査したが、米国側が調査先にこの基地を選んだ理由をどのように承知しているか。また、日本側がこの調査を受け入れた理由についても明らかにされたい。
4 米軍が「Xバンドレーダー」を日本に配備する場合、配備先と配備時期についての最終決定はいつ行われるのか、政府の見通しを示されたい。

二 防衛庁の「FPS-XX」について

1 「FPS-XX」は、一体どのような施設なのか、その目的及び機能、規模、配置要員数等の概要を示されたい。また、このレーダーの製造事業者及び契約方法並びに本体の価格及び関連施設を含めた経費の総額を明らかにされたい。
2 「FPS-XX」が使用する電力や電波等によって周辺に電波障害を引き起こす可能性はないのか、所見を示されたい。
3 防衛庁が平成十八年度から行う「FPS-XX」の実用運転について、その計画の概要を明らかにされたい。
4 防衛庁は「FPS-XX」を鹿児島県・下甑島、新潟県・佐渡、青森県・大湊、沖縄県・与座岳の全国四か所に配備する計画であるが、これらの配備先の選定の理由を示されたい。

三 レーダー情報の共有について

1 航空自衛隊と在日米軍の共同使用となる米軍横田基地の「共同統合運用調整所」はどのような役割を果たすのか明らかにされたい。
2 弾道ミサイル監視センサーの情報を日米間で共有し、日本側が得た情報の提供に基づき、米国側が武力行使を行った場合、日本政府にとっては日本国憲法が禁じる「集団的自衛権の行使」となる事態が予想されるが、所見を示されたい。

四 配備先地方自治体等への説明及び意向把握について

 「Xバンド・レーダー」の配備予定候補地への現地調査の実施及び「FPS-XX」の配備先の地方自治体関係者や住民に対する説明をどのように行ってきたのかを明らかにされたい。また、「Xバンド・レーダー」の配備予定候補地あるいは「FPS-XX」の配備先の地方自治体及び住民の意向をどのように踏まえるつもりなのか、所見を示されたい。

  右質問する。