質問主意書

第164回国会(常会)

質問主意書


質問第二号

沖縄の米軍基地の返還と跡地利用による経済効果等に関する質問主意書

右の質問主意書を国会法第七十四条によって提出する。

  平成十八年一月二十五日

大田 昌秀   


       参議院議長 扇 千景 殿



   沖縄の米軍基地の返還と跡地利用による経済効果等に関する質問主意書

 冷戦の終えん及び一九九五年九月の少女暴行事件後に設置された沖縄における基地及び施設に関する特別行動委員会(SACO)の合意等を受けて、在沖縄米軍の基地及び施設が整理・縮小され、駐留軍用地の一部が返還されてきた。今後、在日米軍の再編に伴い、駐留米軍の兵力削減や基地返還が進むものと期待される。したがって、米軍基地及び施設の返還に備え、返還跡地の有効利用の推進等に資するために、米軍が駐留していることによる基地所在地への経済効果及び返還後の土地区画整理事業による跡地利用の実情を把握しておく必要があると考える。
 例えば、一九八一年に返還された沖縄県北谷町の米海軍ハンビー飛行場の跡地は、土地区画整理事業によって現在、商業地や住宅地などに活用されている。飛行場時代には米軍雇用者数が百人だったのが、返還後には、同域内に二百五十の事業所ができ、雇用者数は二千百十二人に急増し(二〇〇一年沖縄県の事業所・企業統計調査)、当該地主の賃借料や同域の資産価格もはるかに増大している。同様に、一九八三年に返還された具志川市(現うるま市)の米陸軍天願通信所、同じく沖縄市の米海軍・空軍の泡瀬通信所、一九八六年に返還された那覇市の那覇米空軍・海軍補助施設(小禄・金城地区)などにおいても跡地利用事業によって返還時点よりはるかに大きな経済効果を生み出している。
 よって、次のとおり質問する。

一、沖縄の米軍基地及び施設ごとに、「地主への賃借料」、「軍雇用者所得」並びに基地及び施設内での「日本側売店売上」「建設工事代」及び「燃料などの物資購入費」について、直近の年度において項目ごとの年額とその総額を示されたい。

二、過去日米両政府の合意等を受けて返還された米軍基地及び施設ごとに、その跡地利用によって同域内にどのような経済及び雇用効果を生み出しているのか、同域内における事業所数、雇用者数、賃借料などの数値を用いて具体的に明らかにされたい。

三、駐留米軍を存続させる根拠として、米軍基地の域内に与える経済効果を強調する意見がある。しかし、米海軍ハンビー飛行場や米陸軍天願通信所などの返還基地及び施設の例にあるように、返還跡地の利用が進めば、はるかに大きな経済効果を生み出すばかりでなく雇用の増大に寄与すると考える。この点に関し、政府の見解を示されたい。

  右質問する。