質問主意書

第163回国会(特別会)

答弁書


答弁書第六号

内閣参質一六三第六号
  平成十七年十月十四日
内閣総理大臣 小泉 純一郎   


       参議院議長 扇 千景 殿

参議院議員糸数慶子君提出在日米軍の施設及び区域で働く駐留軍労働者のアスベスト被害に関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。



   参議院議員糸数慶子君提出在日米軍の施設及び区域で働く駐留軍労働者のアスベスト被害に関する質問に対する答弁書

一及び二について

 現在、防衛施設庁においては、駐留軍等労働者に対し、毎年、労働安全衛生法(昭和四十七年法律第五十七号)等に基づく健康診断を実施している。
 また、平成十七年八月五日、駐留軍等労働者、過去に駐留軍等労働者であった者(以下「退職者」という。)等を対象とした石綿による健康被害等の相談に応じるための健康相談窓口(以下「健康相談窓口」という。)を防衛施設庁並びに関係する防衛施設局及び防衛施設事務所に開設したところであるが、同年九月三十日現在、防衛施設庁が把握している限りにおいては、石綿による健康被害が確認できた者はいない。

三について

 石綿に関するものも含め駐留軍等労働者に対する安全衛生対策については、従来から、日本側においては、労働安全衛生法等に基づく健康診断、保健指導等を実施してきたところであり、アメリカ合衆国(以下「合衆国」という。)側においては、基本労務契約、船員契約及び諸機関労務協約に従い、安全な作業場の設置、安全教育の実施、保護衣の備付け等の災害防止に係る安全対策を実施してきたと承知している。

四について

 日本国とアメリカ合衆国との間の相互協力及び安全保障条約第六条に基づく施設及び区域並びに日本国における合衆国軍隊の地位に関する協定(昭和三十五年条約第七号)第二十五条1の規定に基づいて設置された合同委員会の下にある環境分科委員会(以下「環境分科委員会」という。)の議事録は、両国政府の合意なしには公表しないこととされており、環境分科委員会においてどのような事項が議題とされたかについては、これを公にすることにより合衆国政府との信頼関係が損なわれる等のおそれがあることから、答弁を差し控えたい。

五について

 お尋ねの「日本環境管理基準」においては、石綿の管理等に関し、例えば、石綿含有物質が空気中にその繊維を飛散させるおそれがあり、信頼することができる方法で封じ込め、囲い込み等をすることができない場合は、その石綿含有物質を除去しなければならないことが定められていると承知している。

六について

 平成十七年九月三十日までに、健康相談窓口に寄せられた相談件数は六十二件であり、相談内容は、石綿による健康被害への不安に関すること、労働者災害補償保険法(昭和二十二年法律第五十号)に基づく保険給付及びその手続に関すること等である。

七から九までについて

 防衛施設庁においては、石綿による退職者の健康被害等に対応するため、御指摘の労働安全衛生法に基づく健康管理手帳の制度のほか、労働者災害補償保険法に基づく補償の制度等の退職者に対する周知を図るとともに、健康相談窓口での相談を通じて石綿による退職者の健康被害の有無等について把握することとしている。
 また、合衆国軍隊に対しては、石綿による健康被害の防止に係る協力を必要に応じて要請することとしている。