質問主意書

第163回国会(特別会)

答弁書


答弁書第三号

内閣参質一六三第三号
  平成十七年十月七日
内閣総理大臣 小泉 純一郎   


       参議院議長 扇 千景 殿

参議院議員喜納昌吉君提出国際連合安全保障理事会常任理事国入りを目指した外交政策に関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。



   参議院議員喜納昌吉君提出国際連合安全保障理事会常任理事国入りを目指した外交政策に関する質問に対する答弁書

一について

 本年度の大使会議は、五月十六日から十八日まで、すべての地域の特命全権大使を集めて開催され、国際連合(以下「国連」という。)の改革に関する問題のみならず、海外における日本企業支援、広報文化、領事分野等、多岐にわたる問題について議論を行った。今回の大使会議に出席する特命全権大使の帰国のための旅費及び会議開催に必要な諸経費は、計約一億八百万円であった。なお、今回の大使会議は、毎年度地域ごとに分けて開催されているものを一度に開催したものであり、このために追加的な費用を要したわけではない。我が国の国連の安全保障理事会(以下「安保理」という。)常任理事国入りのための外交活動に要した費用については、一般的に、外交活動は多くの目的をもって行われるものであり、安保理常任理事国入りのための外交活動を正確に特定できないことから、その具体的な金額をお示しすることは困難である。

二について

 政府としては、従来、我が国の安保理常任理事国入りに向けた外交努力を重ねてきており、過去一年間は、インド、ドイツ連邦共和国、ブラジル連邦共和国等とともに安保理改革を先導してきた。本年九月に終了した国連第五十九回総会においては、我が国がこれらの諸国と共同して安保理改革に関する決議案を上程したことが契機となり、アフリカ連合の加盟国及び「コンセンサスのための結集」への参加国からもそれぞれ決議案が上程されるなど、我が国の外交努力は、国際社会において、安保理改革の機運をかつてないほど高めた。
 本年九月に開催された国連首脳会合で採択された成果文書においては、安保理改革について、「早期の安保理改革を、国連を改革するための全般的な努力における不可欠の要素として支持する」こと、「このための決定を達成するために努力を継続する」こと、「総会に対して改革に関する進捗状況を本年末までにレビューするよう要請する」こと等が言及されており、改革への機運は維持されている。
 以上のことから、政府としては、安保理常任理事国入りを目指した外交政策が失敗したとはとらえておらず、今後とも同じ考えを持つ各国の理解と協力を得ながら、安保理改革等を通じた国連の強化に取り組む考えである。

三について

 政府としては、中華人民共和国や大韓民国を始めとするアジア諸国と、手を携えてアジア地域の平和と繁栄を実現していくため、引き続き、これらの国々との間で、個別の問題が関係全体の発展の支障にならないよう、幅広い分野における協力の強化を通じて、相互理解と信頼に基づいた未来志向の関係を構築していく考えである。したがって、アジア外交が行き詰まっているとは考えていない。

四について

 政府は、国立の無宗教の追悼・平和祈念施設について、追悼・平和祈念のための記念碑等施設の在り方を考える懇談会の報告書を踏まえ、検討しているところである。