質問主意書

第163回国会(特別会)

質問主意書


質問第二一号

公務員共済年金制度の在り方に関する質問主意書

右の質問主意書を国会法第七十四条によって提出する。

  平成十七年十月二十八日

浅尾 慶一郎   


       参議院議長 扇 千景 殿



   公務員共済年金制度の在り方に関する質問主意書

 政府の進めるいわゆる「聖域なき構造改革」は、実際はいくつかの聖域を残したまま進められており、その結果国民には痛みばかり押しつけ、将来への展望は開けないという本来の趣旨とは明らかに違った方向へと進みつつある。
 政府の「構造改革」の聖域となっている代表的な例が公務員制度である。公務員制度には、国民の目には触れにくい形で様々な民間との不均衡が存在する。公務員に労働基本権を付与した上で、これら公務員制度に隠された「歪み」を正し、民間部門との公平性を確保してこそ初めて真の構造改革が実現し、また、憲法第一五条第二項にいう「全体の奉仕者」との趣旨が達成されるものと考える。
 このような観点から、標記について以下質問する。

一、国家公務員共済年金、地方公務員共済年金及び厚生年金について、基礎年金部分を除いた退職年金の平均月額(受給総額を受給人数で除したもの)はいくらか。受給総額と受給人数をそれぞれ示してお答え願いたい。

二、国家公務員共済年金及び地方公務員共済年金について、現在の追加費用の金額はいくらか。また、受給総額から追加費用金額を除いた金額を受給人数で除すことによって算出した年金月額(追加費用がない場合の年金額)はそれぞれいくらか。

三、国家公務員共済年金及び地方公務員共済年金について、過去の追加費用の総額はいくらか。また、今後はどの位の金額を見込んでいるか。なお、国家公務員共済については郵政事業又は郵政公社に係る費用を内数で示されたい。

四、最近、政府部内で、公務員共済年金と厚生年金の統合へ向けた具体的検討が始まったやに聞く。今後発生が見込まれる右の追加費用(郵政公社に係るものを含む)は誰がどのように負担するのか。引き続き国又は地方自治体の会計が負担するのか、それとも、統合後の年金制度の保険者や被保険者が負担するのか。

五、公務員共済年金も厚生年金も個々人の退職年金又は老齢年金の受給額は、その個人の生涯賃金額に基づく平均標準報酬月額と被保険者期間を基に算出されると聞く。これは、その個人及びその使用者が支払った保険料の金額を年金額に反映させる趣旨であると考える。
 ところが、公務員共済年金の場合、過去の所得の捕捉が出来ないため、平均標準報酬月額の算定が一部推定によるものがあると聞く。どのような推定により平均標準報酬月額を算定しているのか。

六、平均標準報酬月額を推定により算出するのであれば、それに見合った保険料納付金額も推定出来ると考える。

1 国家公務員共済と地方公務員共済の恩給期間のある退職年金受給者について、制度設立当初の保険料率をその公務員の就職時まで遡って適用すると、納付されるべきだった保険料(労使合計)の総額はいくらになるか。
2 例えば、国家公務員と地方公務員について、共済組合員四十年(恩給期間十年、共済期間三十年)、平均標準報酬月額三十三万百二十円の退職者の退職共済年金の年額とそのうちの追加費用額はいくらか。また、恩給期間十年について、制度設立当初の保険料率を遡って適用した場合の保険料(労使合計)の総額はいくらになるか。更に、共済組合員四十年のうち恩給期間が二十年の場合はいかがか。

七、追加費用について、政府は恩給制度から共済年金制度へ転換するに当たっての経過的措置と説明するが、だとすれば、追加費用は、恩給期間に納付されるべきだった保険料額に限り、不足する財源は制度構成員の保険料を充当すべきである。恩給期間を被保険者期間として年金額を算定し、その年金額を恩給期間と実際の被保険者期間に案分して、恩給期間の年金額に追加費用を充当するのであれば、国や地方自治体の会計からの支出が明らかに過大となるばかりでなく、税金によって年金の負担を軽く給付を厚くしている点で民間準拠の原則を定める公務員関連法の趣旨にも反すると考える。かかる不公正な算出方式をとる理由は何か。また、今後その方式を再検討するつもりはないか。

  右質問する。