質問主意書

第162回国会(常会)

答弁書


答弁書第四五号

内閣参質一六二第四五号
  平成十七年八月十二日
内閣総理大臣 小泉 純一郎   


       参議院議長 扇 千景 殿

参議院議員喜納昌吉君提出在沖米軍施設における石綿の使用に関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。



   参議院議員喜納昌吉君提出在沖米軍施設における石綿の使用に関する質問に対する答弁書

一について

 日本国とアメリカ合衆国との間の相互協力及び安全保障条約第六条に基づく施設及び区域並びに日本国における合衆国軍隊の地位に関する協定(昭和三十五年条約第七号。以下「日米地位協定」という。)第二条1の規定に基づき我が国がアメリカ合衆国に提供している施設及び区域(以下「施設及び区域」という。)においては、御指摘のような事実は確認されていないが、今後とも、我が国に駐留するアメリカ合衆国軍隊(以下「合衆国軍隊」という。)に係る環境汚染が生じないよう、施設及び区域内の建築物又は工作物の解体作業を合衆国軍隊が行う場合については、日米地位協定第二十五条1の規定に基づいて設置された合同委員会の下にある環境分科委員会の枠組みを通じて適切に対処し、また、当該作業を合衆国軍隊以外の者が行う場合については、我が国の法令に基づき、周辺地域に石綿の粉じんが飛散しないよう適切に措置を講じてまいりたい。

二について

 合衆国軍隊による環境保護及び安全のための取組については、合衆国軍隊が遵守すべき環境に係る基準として日米の関連法令のうちより厳しい基準を選択するとの基本的考えの下で合衆国軍隊によって作成される「日本環境管理基準」(以下「JEGS」という。)に従って行われているところであるが、JEGSにおいては、石綿の除去及び処分に係る基準についても定められており、合衆国軍隊が施設及び区域において石綿の除去及び処分を行う場合については、当該基準に従い行われていると考えており、また、合衆国軍隊以外の者が施設及び区域において石綿の除去及び処分を行う場合については、我が国の法令に基づき行われている。

三について

 お尋ねの「在沖米軍関係者」が具体的にどのような者を指すのか必ずしも明らかではないが、沖縄県に駐留する合衆国軍隊が使用する施設及び区域(以下「在沖米軍施設及び区域」という。)内に勤務し、若しくは居住し、又は過去に勤務し、若しくは居住していた合衆国軍隊の構成員及び軍属並びにそれらの家族が、石綿によりその健康に何らかの影響を受けた事例があるか否かについては、承知していない。また、駐留軍等労働者であって、在沖米軍施設及び区域において勤務している者又は過去に勤務していた者に対し、石綿にばく露したことにより発症する疾病について、労働者災害補償保険法(昭和二十二年法律第五十号)に基づく保険給付が行われた事例はない。

四について

 我が国における石綿に係る規制については、大気汚染防止法(昭和四十三年法律第九十七号)の規定において、吹付け石綿が使用されている建築物の解体等の作業を伴う建設工事を施工するに当たって作業基準の遵守が義務付けられ、また、労働安全衛生法(昭和四十七年法律第五十七号)の規定において、原則として石綿の製造等が禁止されているなど、石綿の大気中への飛散や石綿による労働者の健康障害を防止するための措置等が講じられているところである。