質問主意書

第162回国会(常会)

答弁書


答弁書第三五号

内閣参質一六二第三五号
  平成十七年七月一日
内閣総理大臣 小泉 純一郎   


       参議院議長 扇 千景 殿

参議院議員津田弥太郎君提出リバースモーゲージの普及促進に関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。



   参議院議員津田弥太郎君提出リバースモーゲージの普及促進に関する質問に対する答弁書

一、二及び八について

 リバースモーゲージは、高齢者がその所有する不動産を担保に融資を受け、その死亡時又は融資機関との契約の終了時に当該不動産の売却により一括して返済する仕組みであるが、高齢者が住み慣れた住宅又はそのニーズに適した住宅に住みながら、十分な介護サービス等を受けることができるなど安定した生活を送ることを可能とする点において、有意義な仕組みであると考えている。
 六十五歳以上の高齢者に占める「潜在的なリバースモーゲージ利用希望者」の比率については、把握しておらず、また、「アメリカ並みの普及率になった場合」の経済効果についての試算は、行っていないところであるが、リバースモーゲージに係る官民の役割分担の在り方も含め、リバースモーゲージに関する課題については、今後、幅広く研究してまいりたい。

三について

 長期生活支援資金貸付制度を実施している各都道府県社会福祉協議会において資金の貸付けの決定が行われた件数の合計は、平成十七年五月三十一日現在、二百九十六件である。
 これまでの間、当該制度が実施されている都道府県数の増加に伴い、貸付件数も着実に増加してきているものと考えており、引き続き、当該制度の普及に努めてまいりたい。

四について

 長期生活支援資金貸付制度では、資金の借入申込者が現に居住している建物及び土地を担保物件とし、当該土地の評価額に基づき貸付けに係る限度額を設定することとしている。御指摘のマンションを対象とすることについては、各入居者が土地の所有権を共有持分として有する場合が多いことなどを考慮すると、長期の貸付けの償還に見合った担保余力を期待しにくいといった事情に変化がないことから、担保物件の対象としていないところであるが、今後の中古住宅流通市場の動向等を見ながら対応してまいりたい。

五について

 長期生活支援資金貸付制度は、本人の収入のみでは生計が困難な低所得の高齢者世帯の自立を支援することを目的としており、子と同居している場合には、貸付期間中にその収入からの支援が得られることが想定されることなどから、借入申込者に配偶者又は借入申込者若しくはその配偶者の親以外の同居人がいないことを貸付けの要件としているものであり、借入申込者が子と同居している場合に貸付けを行うことは考えていない。
 また、御指摘の「税制優遇措置」としてどのようなものを想定しているか明らかではないが、現にその住宅に居住していない子が当該住宅を相続し、処分した場合について税制上の優遇措置を講ずることは、居住用財産でない通常の財産の処分に対して税制上の優遇措置を講ずることであり、適当でないと考える。

六について

 固定資産税は、対象資産の所有者に対して、当該資産が有する価値に応じて課されるべきものであり、当該資産について担保権を設定し、融資を受けるなどの所有者の個別の事情によって税負担に差を設けることは、課税の公平の観点から適当でないと考える。

七について

 国土交通省では、住宅金融公庫が実施する、持家のバリアフリーリフォーム等の費用について融資を受けた者の死亡時に一括償還を認める制度を推進しているほか、リバースモーゲージによる融資の担保となる住宅が資産として適切に評価されるよう、住宅の質についての情報を提供する住宅性能表示制度の普及に努めるとともに、宅地建物取引業者が合理的な価格査定を行うためのマニュアルについて、中古住宅の質や管理状況が価格査定に適切に反映できるよう、その改訂を指導するなど、中古住宅市場の条件整備を進めている。

九について

 内閣府は、リバースモーゲージの普及促進に関する総合調整に関する事務を所掌しておらず、リバースモーゲージの普及促進については、関係省庁が、必要に応じて連絡を取りつつ、それぞれの任務に応じて必要な施策を講じていることなどから、内閣府に御指摘のような「関係全省庁が参加する横断的な検討機関」を設置することは適当でなく、また、御指摘のような「特別立法」を制定する必要があるとは考えていない。