質問主意書

第162回国会(常会)

答弁書


答弁書第一八号

内閣参質一六二第一八号
  平成十七年五月二十日
内閣総理大臣 小泉 純一郎   


       参議院議長 扇 千景 殿

参議院議員尾立源幸君提出関税の立替問題等に関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。



   参議院議員尾立源幸君提出関税の立替問題等に関する質問に対する答弁書

一及び二について

 輸入貨物に係る関税及び内国消費税(以下「関税等」という。)については、関係法令上は輸入者が納税することとされているが、通関業者が、業として、輸入者の依頼により輸入申告から輸入許可までの手続につき輸入者の代理をするに当たって、輸入者に代わって関税等の立替払をし、輸入貨物の引渡し後にその費用を手数料と一括して輸入者に対し請求するという役務を提供する場合がある。その立替払の額は、社団法人日本通関業連合会が加盟業者に対する調査に基づき平成十三年に行った推計によると、年間約一兆円となっていることは承知している。
 通関業者による輸入者の関税等の立替払自体は、通関業者の営業判断に基づいて行われているものであり、基本的に通関業者と輸入者との間の民間の契約の問題であると考えているが、政府として輸入者が関税等を自ら支払うことが容易な環境を整備することは、立替払を極力少なくしたいとする通関業者の要請の解決にもつながるものであると考えている。このため、関税等を後日支払うこととして輸入貨物を引き取ることができるという納期限延長制度に加え、平成十六年三月には、マルチペイメント・ネットワークという電子納付の仕組みを利用して関税等を納付できる制度を設けたところであり、引き続きこれらの制度の周知に努め、その利用促進を図っているところである。

三について

 一般に、自己の取引上の地位が優越していることを利用して、取引の相手方に対し、正常な商慣習に照らして不当に不利益を与える行為は、私的独占の禁止及び公正取引の確保に関する法律(昭和二十二年法律第五十四号)第二条第九項の不公正な取引方法に当たり、同法第十九条の規定に違反する。
 お尋ねの行為が不公正な取引方法に該当するか否かは、輸入者が通関業者に対して優越的な地位にあるか、通関業者が関税等の立替払を行うことが当該通関業者にとって正常な商慣習に照らして不当に不利益を被ることとなるかなどについて、個別具体的な事例に即して判断すべきものであると考えている。

四について

 通関業者による関税等の立替払は、輸入者を代理して行っているものであり、関係法令上は輸入者本人が納めたのと同じ効果を有している。仮にお尋ねのように輸入者が通関業者に対して優越的な地位にある場合、三についてで述べたような違法な行為が許されるものでないことは当然であるが、関税等の立替払は、基本的に通関業者と輸入者との間の民間の契約の問題であると考えている。したがって、関税等の立替払の有無が税負担の公平性に影響を与えるとは考えていない。

五について

 法人税等の立替払は、関税の立替払と同様に、基本的に民間の契約の問題であって、関係法令上は納付すべき者が納めたのと同じ効果を有しており、税法上問題はないと考えている。