質問主意書

第162回国会(常会)

答弁書


答弁書第一四号

内閣参質一六二第一四号
  平成十七年五月十日

内閣総理大臣臨時代理           
国務大臣 細田 博之   


       参議院議長 扇 千景 殿

参議院議員喜納昌吉君提出日中戦争等における中国人被害者による損害賠償請求訴訟等に関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。



   参議院議員喜納昌吉君提出日中戦争等における中国人被害者による損害賠償請求訴訟等に関する質問に対する答弁書

一について

 お尋ねの東京高等裁判所平成十七年四月十九日判決(以下「控訴審判決」という。)は、控訴をいずれも棄却しており、国側のこれまでの主張が認められたと考えている。
 また、お尋ねの事実認定については、控訴審判決は、一審判決の認定事実を引用していないことから、その事実認定を維持する判断をしたものではないと理解している。

二及び三について

 政府としては、戦後五十周年に当たる平成七年の終戦記念日に際し、内閣総理大臣談話を発表し、先の大戦に係る我が国の歴史認識を明確に表明している。また、中国との間でも、我が国は、昭和四十七年の日本国政府と中華人民共和国政府の共同声明(以下「日中共同声明」という。)、昭和五十三年の日本国と中華人民共和国との間の平和友好条約(昭和五十三年条約第十九号)及び平成十年の平和と発展のための友好協力パートナーシップの構築に関する日中共同宣言を通じ、先の大戦に係る歴史に対する深い反省を表明し、中国もこれを受け入れ、この三十余年間の日中友好関係が築かれてきたと考えている。
 お尋ねの賠償については、先の大戦に係る日中間の請求権の問題は、昭和四十七年の日中共同声明発出後、存在しておらず、このような認識は、中国側も同様であると承知している。

四について

 歴史教科書において、具体的にどのような歴史的事象を取り上げ、それをどのように記述するかは、基本的に執筆者の判断にゆだねられている。
 歴史的事象に関する学問的成果が教科書に反映されるかどうかについては、当該成果が我が国の学界においてどのように位置付けられるか、また、これを踏まえ、執筆者において、どのような記述がなされるかによるものであると考える。