質問主意書

第162回国会(常会)

答弁書


答弁書第一一号

内閣参質一六二第一一号
  平成十七年三月二十二日
内閣総理大臣 小泉 純一郎   


       参議院議長 扇 千景 殿

参議院議員尾立源幸君提出登記手数料に関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。



   参議院議員尾立源幸君提出登記手数料に関する質問に対する答弁書

一について

 登記手数料の額は、物価の状況、登記事項証明書の交付に要する実費その他一切の事情を考慮して政令で定めることとされている(不動産登記法(平成十六年法律第百二十三号)第百十九条第三項等)。
 平成十年四月に改定された現行の登記手数料の額は、平成十年度から平成十二年度までの三年間の登記事務のコンピュータ化に要する経費等を含めた登記情報の公開に要する経費の総額の見込額を積算し、これを当該期間における登記事項証明書等の請求の見込件数で除して算出された一件当たりの経費を基にして定められたものである。
 登記手数料の額は、おおむね三年ごとに見直してきており、直近では、平成十六年度においても見直しのための再計算を行ったが、再計算の結果、平成十年四月に改定した際に算出された一件当たりの経費とほぼ同等の額が算出されたことから、登記手数料の額の改定をしないこととしたものである。

二について

 登記特別会計における前年度剰余金は、翌年度の歳入に繰り入れるものとされている(登記特別会計法(昭和六十年法律第五十四号)第七条)ところ、現在、法務省においては、全国の登記所の登記簿等を電子データ化し、登記事務処理をコンピュータ化する作業を進めており、この作業には多額の経費を要し、剰余金が生じたとしても、これを理由に登記手数料の額を引き下げることは相当でないと考えている。

三について

 登記手数料の額の引下げのために、特定の者の積立金を登記特別会計の歳入として受け入れることは、これが当該特定の者に負担を強制するものであれば、強制的な寄附金受入れ等を禁止している「官公庁における寄附金等の抑制について」(昭和二十三年一月三十日閣議決定)の趣旨に反し、相当でないものと考える。

四について

 財政制度等審議会から指摘された委託事業の単価の適正化については、全国的な抽出調査を実施するなどして、平成十六年度予算及び平成十七年度予算案において委託単価を見直して予算額に反映させ、その適正化に努めているところである。
 また、受益者の適正な負担の在り方に係る財政制度等審議会の指摘は、平成十六年度からオンラインによる登記申請の運用が開始されることに伴い、手数料等につき、受益者の適正な負担の在り方を検討すべきであるというものであり、今後、オンライン申請の状況等を見極めながら、受益者の適正な負担の在り方を検討することとしている。