質問主意書

第162回国会(常会)

質問主意書


質問第四二号

北朝鮮貨客船「万景峰九二」号の積荷の情報公開に対する政府答弁等に関する質問主意書

右の質問主意書を国会法第七十四条によって提出する。

  平成十七年七月二十七日

白 眞勲   


       参議院議長 扇 千景 殿



   北朝鮮貨客船「万景峰九二」号の積荷の情報公開に対する政府答弁等に関する質問主意書

 私は、平成十七年五月二十四日付け「北朝鮮貨客船『万景峰九二』号の積荷に関する質問主意書」(以下「前々回質問主意書」という。)及び平成十七年六月二十三日付け「北朝鮮貨客船『万景峰九二』号に対する政府の対応等に関する質問主意書」(以下「前回質問主意書」という。)を提出した。
 これらに対する政府答弁書には、国民への説明責任が不十分だと考える答弁部分がある。よって、その答弁部分及び関連する事項につき、以下質問する。

一 昨年十二月二十四日、北朝鮮より提出された横田めぐみさんの遺骨が偽物であったことを受け、細田内閣官房長官は会見で「北朝鮮側が迅速かつ誠意ある対応をしない場合、日本政府として、厳しい対応をとらざるを得ない」との方針を示した。この政府の会見を多くの国民は、北朝鮮への経済制裁を示唆したものと受け止めた。
 その後、北朝鮮は、本年一月、日本側の遺骨鑑定は捏造であると公式に回答、二月には核兵器保有を宣言した。七月二十六日に六か国協議が開かれるものの、北朝鮮は、拉致問題の議論には応じない構えである。これらの経緯を考慮すると、北朝鮮側の対応は「迅速かつ誠意ある」ものとは言いがたい。しかしながら、日本政府は、未だ「厳しい対応」を取らないまま現在に至っている。
 このような状況下、私の提出した前々回質問主意書及び前回質問主意書に対して、平成十六年六月に施行された特定船舶の入港禁止に関する特別措置法により「万景峰九二」号に対し「現時点において」「入港禁止措置をとることは考えていない」と政府は答弁した。

1 政府にとって、細田内閣官房長官が会見した際の「迅速」とはどの程度の期間を意味するのか、具体的に示されたい。
2 政府の考える「厳しい対応」とは、具体的にどのようなものか。「万景峰九二」号への入港禁止措置は含まれるのか否かについても言及した上で、政府の見解を示されたい。

二 前々回質問主意書及び前回質問主意書における「万景峰九二」号の積荷の情報開示を求める質問に対し、政府は「答弁を差し控えたい」とし、これは国会法第七十五条に規定する答弁義務に違反するものではないとした。
 しかし、拉致問題への国民の高い関心と憤りの中、「万景峰九二」号が引き続き新潟港に入港している状況をかんがみるに、この政府答弁は受け入れがたい。そこで、改めて質問する。

1 政府がこれまで特定の船舶について積荷情報を開示した事例は全くないのか示されたい。
2 「万景峰九二」号の積荷情報を開示できない法的根拠が何かあるなら、その内容を示されたい。何も法的根拠がなく政策判断だけで開示しないというのであれば、全国民的な関心事である拉致問題を引き起こしている北朝鮮への輸出は「他の貨物の輸出と変わりはない」とは言えず、積極的に監視する必要があることから、広く国民一般に対し情報を開示すべきと考えるが、政府の見解を明らかにされたい。
3 「万景峰九二」号の積荷情報を全面的に開示できない場合であっても、数量、種別、品名等範囲を絞って開示する選択肢も取り得ると考えられるが、政府はどの範囲までなら開示が可能であると考えるのか、具体的な基準とその理由を示されたい。

三 「我が国に入港した外国籍船舶の保険加入状況について」(平成十五年七月国土交通省公表)によると、北朝鮮籍船舶の保険加入率は二・八パーセントと低く、本年三月に施行された船舶油濁損害賠償保障法(以下「改正油濁法」という。)は、北朝鮮にとって新たな対応を要するものであった。改正油濁法が北朝鮮へ与えた影響を検証することは、今後の対応を検討する上で不可欠である。よって、改正油濁法施行後北朝鮮籍船舶の日本への入港等について質問する。

1 本年三月から六月までの北朝鮮籍船舶の日本への入港回数を、各月及び寄港地ごとに示されたい。また、前年同期間の入港回数についても、各月及び寄港地ごとに示されたい。
2 本年三月から六月までの間、日本から北朝鮮へ輸出された積荷の総トン数を、月ごとに示されたい。また、前年同期間の積荷の総トン数についても、各月ごとに示されたい。
3 「万景峰九二」号及び他の北朝鮮籍船舶が加入している船主責任保険会社の名称及びその国籍を示されたい。また、支払能力の有無を初めとする各船主責任保険会社の信頼性について、国際的評価をどのように承知し、さらに政府自体がどのように評価しているかを示されたい。
4 改正油濁法は、船主責任保険の加入義務を百トン以上の船舶に拡大したものである。そこで、北朝鮮より日本に入港する、改正油濁法の対象とならない百トン未満の船舶の保険加入状況について、政府の把握している情報を示されたい。

  右質問する。