第162回国会(常会)
質問第三六号 イラク派遣自衛官の選挙権行使に関する質問主意書 右の質問主意書を国会法第七十四条によって提出する。 平成十七年六月二十七日 辻 泰弘
参議院議長 扇 千景 殿 イラク派遣自衛官の選挙権行使に関する質問主意書 選挙は憲法の基本的理念である代表民主制の根幹であり、その実現のために、より多くの有権者が投票しやすい環境を整え、公正・公平な選挙制度を確立し、その実施に努めることは極めて重要である。 以上のような立場に立って、兵庫県と関係各市は、現在兵庫県内の駐屯地からイラクに派遣されている自衛隊員が、兵庫県知事選挙の投票(投票日は七月三日)を行えるよう、自衛隊員が選挙人名簿に登録されている各市の期日前投票所をイラク・サマワの宿営地に設置し、自衛隊の群長等を期日前投票管理者として管理執行すること、あるいはクウェートに期日前投票所を設置すること等、期日前投票制度を活用することにより、自衛隊員の投票の実現に向け、総務省などと調整を進めてきたところである。 しかしながら、期日前投票所を国外に設置することの法的可否についての照会に対して総務省は、「公職選挙法上、想定していない」ことを理由として、「不可」との回答を示し、また、自衛隊側は「総務省ができると言わない限り動けない」との意向を示している。そのため、投票実施に向けて最低限必要となる、イラクに派遣されている自衛隊員の名前・住所地リストの提供等の協力が得られず、各市とも具体の準備に入れない状況が続いており、このままでは約三五〇人にも及ぶ自衛隊員の投票ができなくなるおそれが強い。 PKOやイラク復興支援などのために、海外で活動する自衛隊員が、政府の命令により日本を離れ任地に赴いたにもかかわらず、当然に予想される事態への対応が何ら尽くされないままに、投票の機会が奪われることは、基本的人権にかかわる極めて重大な問題であるとの認識から、以下質問する。 一 現行の公職選挙法の規定により、イラク・サマワの宿営地に期日前投票所を設置し、自衛隊の群長等を期日前投票管理者として、管理執行することはできないか。 二 現行の公職選挙法の規定により、クウェートに期日前投票所を設置し、派遣自衛隊員が投票を行うことはできないか。 三 イラク・サマワ、クウェートの期日前投票所の設置をいずれも不可とする場合には、その他の方法によって派遣自衛隊員が兵庫県知事選挙に投票を行うことはできないか。 四 現行の法令上、イラク派遣自衛官の期日前投票が不可能であるとするならば、早急に法令を改正し、投票できるように措置することが必要であると考えるが、これに対する政府としての見解と方針を示されたい。 右質問する。 |