質問主意書

第162回国会(常会)

質問主意書


質問第三二号

小児・幼児に対する向精神薬の投与に関する再質問主意書

右の質問主意書を国会法第七十四条によって提出する。

  平成十七年六月二十二日

広中 和歌子   


       参議院議長 扇 千景 殿



   小児・幼児に対する向精神薬の投与に関する再質問主意書

 去る五月三十一日に提出した「小児・幼児に対する向精神薬の投与に関する質問主意書」については、六月十日に内閣から答弁書が提出されているが、その答弁内容には納得できない点があるので、再度以下質問する。

一、厚生労働省は平成十五年度に石川洋一氏を主任研究者とする「小児薬物療法におけるデータネットワークのモデル研究について」(以下「同研究」という。)を「厚生労働科学研究費補助金」事業(以下「同補助金事業」という。)として採択している。
 この平成十五年度の同研究に対する補助額はいくらか。また、同年度以外の同研究に対する補助額は、各年度それぞれいくらか。

二、同研究の研究対象と研究成果はどのようなものか示されたい。

三、政府は学習障害(LD)、注意欠陥多動性障害(ADHD)など「発達障害児」に該当する小児・幼児に対し、「塩酸メチルフェニデート錠」(商品名「リタリン」)を始めとする向精神薬投与の実態について、答弁書の中で「把握していない」と回答している。政府は、同研究の報告を受けていないのか。受けているとすれば、同研究で示されているはずの向精神薬投与の実態について、なぜ内容を「把握していない」のか明らかにされたい。

四、厚生労働省ホームページ「厚生労働科学研究費のあらまし」によると、同補助金事業の研究成果は「行政施策への反映」、「国民の健康水準の向上」に役立てることになっている。政府が本当に「把握していない。」のであれば、同研究に補助金として投入された税金は無駄遣いにならないのか。また、同研究の成果はどのように「行政施策への反映」、「国民の健康水準の向上」に役立てられているのか、予算措置、具体的施策を示されたい。

五、同研究は全国の国立病院、公立こども病院、大学病院三十一施設を対象に実施され二十三施設から回答を得たとしている。それによると、製薬会社が添付書で「投与しないこと(安全性が確立していない)」としている小児等に対し、塩酸メチルフェニデート錠・散(商品名リタリン)については三百四十一例、マレイン酸フルボキサミン錠(同デプロメール錠、ルボックス錠)については二百三十二例の適応外使用症例が報告されている。また、これらの向精神薬の使用病名はほとんどが注意欠陥多動性障害(ADHD)など「発達障害児」に対するものであったと理解している。公的病院においてさえ、製薬会社自身が「投与しないこと」としている小児等に対し、向精神薬が投与されている現状について、政府としてどう考え、対処するのか。また、全国の病院に対して改めて小児等に対する向精神薬の投与の実態を調査する考えはないか。

六、政府は答弁書で「我が国において薬物治療等により児童が自殺に追い込まれた実例があるかどうかは、把握していない。」としているが、改めて実例があるかどうか調査をする考えはないか。

  右質問する。