質問主意書

第162回国会(常会)

質問主意書


質問第二二号

被爆二世の健康診断の充実に関する質問主意書

右の質問主意書を国会法第七十四条によって提出する。

  平成十七年五月二十五日

犬塚 直史   


       参議院議長 扇 千景 殿



   被爆二世の健康診断の充実に関する質問主意書

 広島と長崎にある放射線影響研究所(以下「放影研」という。)では、被爆者とその子供の健康状態及び死亡率に関する調査研究を行っているが、調査対象者の四五%以上が生存しており、その結果を得るために今後数十年調査を継続することが予定されている。被爆二世への放射能の遺伝的な影響について医学的・科学的知見を得るまでの間、政府は原子爆弾被爆者に対する援護に関する法律(以下「被爆者援護法」という。)に対しての衆議院厚生委員会附帯決議第五項の趣旨を踏まえ、健康診断の充実を図るはずであるが、がん検診が含まれていないなど、不十分な内容であり不安解消になっていない。
 そこで、以下質問する。

一 被爆二世への放射能の遺伝的影響

 厚生労働省健康局総務課では、被爆二世には放射能に起因する健康被害はないとしている。放影研での研究が現在も進められているにもかかわらず、なぜそのような予見に基づいた対応を行政が行うのか。その理由を明確に示されたい。

二 附帯決議を遵守する政府の意思

 平成六年十二月一日、衆議院厚生委員会における被爆者援護法採決後に、「二世の健康診断については、・・・一層充実を図ること。」を第五項に含む附帯決議が議決された。この際、当時の井出厚生大臣は、「ただいま御決議のありました附帯決議につきましては、その御趣旨を十分尊重いたしまして、努力をいたす所存でございます。」と所信を述べているが、政府は、現在でもこの附帯決議を遵守する意思はあるのか。明確に示されたい。

三 被爆二世・三世の人口調査

 健康不安を抱えて生活する被爆二世・三世の存在があり、昭和四九年以来被爆世帯の健康調査に関する研究を実施しているにもかかわらず、未だに被爆二世・三世の総数が把握できていない。実態の把握なしに調査研究ができるのか。明確に示されたい。

四 被爆二世を対象とする健康診断にがん検診が入っていない理由

 被爆二世の健康不安の解消を図るために行われているとされる健康診断に、被爆二世最大の不安要因であるがん検診が入っていないのでは不安解消にならない。そのため、検診者の数も減少傾向にある。被爆の遺伝的影響に不安を感じている二世に対し、一般的な健康診断を行っても不安解消にはならないと考えるが、なぜ、がん検診が行われないのか。明確に示されたい。

  右質問する。