質問主意書

第162回国会(常会)

質問主意書


質問第六号

在日米軍から排出される廃棄物の処理及び環境調査に関する質問主意書

右の質問主意書を国会法第七十四条によって提出する。

  平成十七年三月一日

糸数 慶子   


       参議院議長 扇 千景 殿



   在日米軍から排出される廃棄物の処理及び環境調査に関する質問主意書

 沖縄県は、第三セクターによる廃棄物処理センターの設置に向け、平成十六年度内に基本構想を策定する予定である。
 平成十七年一月三十日付け沖縄タイムス朝刊によると、公共関与による産業廃棄物処理施設の整備促進基本構想検討委員会(以下「本委員会」という。)幹事会では、米軍施設から排出される廃棄物が論議の対象となり、幹事会としての沖縄県知事への最終報告案づくりにおいて「(米軍廃棄物の)最終処分の受け入れには、米軍等の動向を見極めた対応が必要」との文言を盛り込み、米軍の廃棄物が廃棄物処理センターの処理容量を大きく左右すると指摘している。
 二月九日には、本委員会の最終報告が知事に答申された。この最終報告の「公共関与の必要性と事業に向けての基本的考え方」においては、特に米軍基地からの廃棄物の処理について施策を求めている。その項目は次のとおりである。
 「米軍基地から排出される廃棄物に関しては、『排出者責任』の趣旨に則り、米軍等において廃棄物の適正な処理体制の整備が求められているところであるが、現状においては、焼却等の中間処理が民間処理施設で処理されていることに鑑み、その残さ等の最終処分の受け入れについては、廃棄物の適正処理を確保し県土の環境保全を図る観点から、米軍及び関係機関の動向を見極めつつ対応していく必要がある。」
 最終報告が危惧するように、在沖の米軍施設や区域から排出される廃棄物は年々増加の一途をたどり、沖縄県環境整備課によると、平成十四年四月から平成十五年三月までに在沖米軍基地から排出された生活系廃棄物は三万三千九百六十三トン、産業系廃棄物は五千百七十一トンとなっている。
 この廃棄物の数字は、県民一人当たりの約二倍に相当し、その排出量もさることながら、それにも増して問題なのは米軍施設における廃棄物の収集、運搬及び処分の方法である。
 収集、運搬及び処分については、米軍側が日本側の業者と委託契約して処分しているが、分別は行われていない。このためリサイクルが困難なうえ、最終処分において大量の廃棄物が搬入される。沖縄県環境整備課では、基本構想策定中の廃棄物処理センターに搬入される廃棄物は年間、約五千八百トンと推計している。この量は、現在の廃棄物が適正に分別・リサイクルされたうえでの最終残量とし、分別されなければ、当然のように量は増えるとして、廃棄物処理センターの容量を危ぶむ。
 沖縄県は「沖縄県廃棄物処理計画(平成十四年三月)」において、「米軍基地の廃棄物対策」を掲げ、具体的な施策として、国内法の基準の遵守と適正処理の徹底を求め、米軍に対しても排出抑制、減量化、適正処理を求めることを基本的な考え方に据えている。
 以上の点を踏まえ、在日米軍から排出される廃棄物の処理に関し、以下質問する。また、沖縄県における在沖米軍の施設及び区域の返還跡地については、環境汚染が問題となっていることから、米軍施設及び区域の環境調査についても、併せて質問する。

一、在日米軍及び在沖米軍から排出される廃棄物の量を掌握しているか。掌握しているのであれば、平成十二年から平成十六年までのそれぞれの量を示されたい。

二、在日米軍の施設及び区域においては、廃棄物の収集、運搬及び処分は日本側業者との委託契約によって行われているが、その収集から処分に至る経過についてどのような契約内容となっているのか、その契約内容を明らかにされたい。

三、沖縄県の「米軍基地の廃棄物対策」によると、米軍側に対し国内法の基準を遵守した適正処理の徹底を求めているが、その実態は明らかではない。これまで日本政府として、米軍側に対し廃棄物の排出抑制、減量化、適正処理の観点からどのような申入れ又は指導を行ったのか。

四、日本政府は今後、在日米軍から排出される廃棄物の処理について、どのような施策を講じるべきだと考えているのか、示されたい。

五、平成十三年三月に返還された沖縄県北谷町のキャンプ桑江北側(三十八・四ヘクタール)においては、返還後に有害物質のポリ塩化ビフェニールや銃弾などが見つかり、油臭も有り、土壌汚染が確認された。このため、米軍施設においては返還前あるいは返還時に実施する環境調査の必要性が痛感される。日本政府として在日米軍の施設及び区域において環境調査を実施する考えがあるか、示されたい。

六、在日米軍施設及び区域の環境調査については、日米合同委員会において、環境汚染発生時は、基地司令官の判断により、地方自治体の立入調査、土壌サンプルの採取などを認めるとする「環境に関する協力」なる合意文書が存在するようだが、その合意文書の内容を明らかにされたい。

  右質問する。