質問主意書

第161回国会(臨時会)

答弁書


答弁書第一四号

内閣参質一六一第一四号
  平成十六年十二月七日
内閣総理大臣 小泉 純一郎   


       参議院議長 扇 千景 殿

参議院議員尾立源幸君提出独立行政法人の会計及び監査に関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。



   参議院議員尾立源幸君提出独立行政法人の会計及び監査に関する質問に対する答弁書

一について

 独立行政法人に移行した特殊法人等の役職員が引き続き移行後の独立行政法人の役職員となった場合における退職手当については、それぞれの特殊法人等又は独立行政法人(以下「法人」という。)ごとに定める退職手当の支給規程において措置されるものであり、個別の取扱いのすべてを承知しているわけではないが、職員にあっては、独立行政法人の職員としての退職時に、特殊法人等における在職期間を退職手当の算定の基礎となる当該独立行政法人の在職期間として通算する等の所要の措置(以下「通算等の措置」という。)が講じられる一方で、役員にあっては、特殊法人等が廃止される際に、当該法人の役員としての退職手当が支給され、通算等の措置が講じられないという例が見受けられるところである。
 このように、職員について通算等の措置が講じられるのは、法人の役職員の退職手当は、一般的には、役員にあっては、俸給月額に在職月数及び一定の支給割合を乗じて得た額を支給することとされているのに対し、職員にあっては、俸給月額に法人職員としての勤続年数に応じて逓増する一定の支給割合を乗じて得た額を支給することとされていることから、職員が独立行政法人を退職する場合において、退職手当算定の基礎となる支給割合に特殊法人等における勤続年数が適切に勘案されないことにより職員に不利益が生じることを避けようとすることによるものと考えられる。

二について

 独立行政法人の役員の報酬及び退職手当の支給の基準(以下「役員の報酬等の支給の基準」という。)については、独立行政法人通則法(平成十一年法律第百三号。以下「通則法」という。)において、国家公務員の給与、民間企業の役員の報酬等、当該独立行政法人の業務の実績その他の事情を考慮して各独立行政法人が定めることとされている。
 一部の独立行政法人においては役員に対し、「特別手当」等として、いわゆる賞与(以下単に「賞与」という。)が支給されていることから、お尋ねの「特別手当」とは賞与を指すものと考えるところ、賞与の算定基礎となる在職期間(以下「賞与算定在職期間」という。)の起算日については、各独立行政法人の役員の報酬等の支給の基準において定められているものと考えられるが、各独立行政法人が当該役員の報酬等の支給の基準をどのような理由で定めたかについては、政府としてお答えする立場にはない。
 なお、役員の報酬等の支給の基準については、通則法第五十三条の規定に基づき、各府省の独立行政法人評価委員会(以下「評価委員会」という。)が社会一般の情勢に適合したものであるかどうかについて主務大臣に対して意見を申し出ることができることとされており、また、評価委員会は必要があると認めるときは、通則法第三十二条の規定に基づき、当該独立行政法人に対し、勧告ができることとされている。したがって、これらの措置を通じ、役員の報酬等の支給の基準については、その適正性が確保される仕組みとなっている。

三について

 お尋ねの「特別手当」は、二についてで述べたとおり、賞与を指すものと考えるが、特殊法人等から移行した独立行政法人の役員のうち、引き続き当該独立行政法人の役員となった者について、独立行政法人への移行時に特殊法人等の退職手当を支給しながら賞与算定在職期間に移行前の特殊法人等の在職期間(以下「移行前の在職期間」という。)を含めている独立行政法人において、移行前の在職期間に係る賞与の自主返納を検討しているか否かについては把握していない。
 また、政府としては、役員の報酬等の支給の基準については、二についてでお答えしたとおり、その適正性が確保される仕組みとなっていると認識しているところである。

四について

 独立行政法人については、監事による監査が行われているところであるが、資本金額が百億円未満であり、かつ、負債の合計額が二百億円未満であるなど一定の要件を満たす小規模な独立行政法人(以下「小規模法人」という。)以外の独立行政法人においては、監事による監査に加え、通則法第三十九条の規定により、一定の資格を有する会計監査人の監査(以下「会計監査人監査」という。)が義務付けられているところである。そして、小規模法人以外の独立行政法人においては、同条の規定に従い、会計監査人監査が適切に行われているものと認識している。
 なお、小規模法人については、会計処理が複雑でないこと、会計監査人監査を義務付けた場合の法人の負担が増大すること等の理由から、会計監査人監査が義務付けられてはいない。