質問主意書

第161回国会(臨時会)

答弁書


答弁書第一三号

内閣参質一六一第一三号
  平成十六年十二月七日
内閣総理大臣 小泉 純一郎   


       参議院議長 扇 千景 殿

参議院議員大田昌秀君提出教科書準拠教材の著作権侵害及び教科書検定における「白表紙本」流出への対処に関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。



   参議院議員大田昌秀君提出教科書準拠教材の著作権侵害及び教科書検定における「白表紙本」流出への対処に関する質問に対する答弁書

一について

 文部科学省においては、「申請図書の取扱いについて」(平成十五年二月十七日付け十四初教科第五十七号文部科学省初等中等教育局教科書課長通知)により、各教科書発行者に対して、検定申請図書の適切な管理について万全を期すよう指導するとともに、各教科書発行者や社団法人教科書協会に対して、各種会議を通じ、検定申請図書の適切な管理を徹底するよう指導しているところである。
 また、社団法人日本図書教材協会(以下「日本図書教材協会」という。)に対しては、「貴法人の運営上の問題点の改善等について」(平成十四年十二月二十七日付け十四初教課第二十二号文部科学省初等中等教育局教育課程課長通知)により、検定申請図書の不適切な取扱いの是正や法人の運営上の問題の改善を速やかに行うとともに再発防止策を講じるよう指導を行ったところである。

二について

 一についてで述べたとおり、文部科学省においては、各教科書発行者、日本図書教材協会等に対する指導を徹底しており、現在では、検定申請図書が、教科書検定の決定以前に教科書発行者等から図書教材を出版する会社(以下「教材出版社」という。)に対して流出するというような事態は生じていないと考えている。また、日本図書教材協会からの報告によれば、教材出版社から日本図書教材協会に支払われている金銭は、教材出版社が教科書発行者に教科書を利用する対価として支払うために、日本図書教材協会が取りまとめているものであるとのことである。

三について

 お尋ねの事項については、当事者間の問題であり、文部科学省としては把握していない。

四について

 日本図書教材協会からの報告によれば、日本図書教材協会は、教科書検定の終了後、教科書に関する情報を教科書発行者から収集し、教材出版社に対して必要な範囲で当該情報を提供しているとのことである。

五について

 公務員の再就職の在り方については、行政に対する国民の信頼確保等の観点から重要な問題であると認識しており、文部科学省においては、行政の公正な執行に対する国民の誤解を生ずることのないよう適切に対応しているところである。また、検定申請図書の流出の再発防止策については、一についてで述べたとおりである。

六について

 著作権者が他人に対し、その著作物の利用を許諾するに当たっての対価その他の条件については、当事者間で定めるべきものであり、文部科学省としてはその内容の当否について見解を述べる立場にない。

七について

 御指摘の教科書準拠教材を使用している小学校が全国でどの程度の比率になるかについては、承知していない。

八について

 御指摘の教科書準拠教材を全国規模で納入している教材出版社の数については、承知していない。
 なお、日本図書教材協会からの報告によれば、平成十六年十二月一日現在、日本図書教材協会に加盟している教材出版社(以下「加盟教材出版社」という。)の数は十八社であり、日本図書教材協会と業務委託契約を締結している教材出版社の数は五十四社であるとのことである。

九について

 お尋ねの問題に係る和解の状況について、そのすべてを承知しているわけではないが、日本図書教材協会からの報告によれば、現在、加盟教材出版社のうち六社と小学校国語教科書に掲載されている作品の著作者等の一部が係争中であり、御指摘の教科書準拠教材における教科書の掲載作品の利用について許諾が得られていないとのことである。

十について

 平成十七年度から使用される小学校国語教科書に掲載される作品の著作者等の数は、四百九名である。日本図書教材協会からの報告によれば、平成十六年十二月一日現在、そのうち五十九名について、御指摘の教科書準拠教材における教科書の掲載作品の利用について許諾が得られていないとのことである。

十一について

 日本図書教材協会からの報告によれば、御指摘のような「直接交渉等をさせないように日図協が圧力をかけている」等との事実はないとのことである。
 また、文部科学省においては、これまでも日本図書教材協会に対して、公益法人として適正な運営を行うよう指導してきたところであり、今後とも適切に指導してまいりたい。

十二について

 お尋ねの問題については、著作者、教材出版社、日本図書教材協会等の関係者間で解決すべきものである。

十三について

 いわゆるワークテスト等は、学校が児童生徒の実態に応じて選択し、使用しているものであり、文部科学省においては、その具体的な使用形態は把握していない。また、いわゆるワークテスト等に教科書に掲載されている作品を利用できるかどうかについては、著作者等と教材出版社との間で解決すべきものである。