質問主意書

第161回国会(臨時会)

答弁書


答弁書第一○号

内閣参質一六一第一○号
  平成十六年十二月三日
内閣総理大臣 小泉 純一郎   


       参議院議長 扇 千景 殿

参議院議員大田昌秀君提出米軍普天間飛行場代替施設建設に向けた名護市辺野古沖のボーリング地質調査に関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。



   参議院議員大田昌秀君提出米軍普天間飛行場代替施設建設に向けた名護市辺野古沖のボーリング地質調査に関する質問に対する答弁書

一について

 お尋ねの「ボーリング地質調査」(以下「本件ボーリング調査」という。)については、普天間飛行場代替施設(以下「代替施設」という。)の護岸の形状等を検討するに際し、代替施設の建設予定場所及びその周辺の海底における地盤強度、地質構造等を把握する必要があることから、当該地盤強度、地質構造等に係るデータを収集するため、ボーリング機材による土の採取等を内容とする調査を行うものである。

二について

 代替施設の建設については、公有水面の埋立てに係る部分は環境影響評価法(平成九年法律第八十一号)第二条第二項に規定する第一種事業(以下「第一種事業」という。)に該当し、また、飛行場の設置に係る部分は同条第三項に規定する第二種事業(以下「第二種事業」という。)に該当しており、同法の規定に基づく環境影響評価を実施しているところである。
 本件ボーリング調査については、当該環境影響評価における代替施設の建設に係る環境影響の予測、評価等の実施の前提となる代替施設の護岸の形状等について検討するためのデータを収集する目的で行うものであり、同法の規定の適用上、代替施設の建設に係る事業の一部ということはできず、第一種事業及び第二種事業のいずれにも該当しないものと考えている。

三について

 本件ボーリング調査の実施による自然環境への影響については、音、水の濁り、足場の設置等によるものが考えられるが、例えば、足場の設置に当たっては、サンゴ及び海草藻場が分布する場所をできる限り避けて設置場所を選定するなど、自然環境への影響を低減するための各種の措置を講ずることにより、自然環境へ与える影響は軽微なものにできると考えている。また、本件ボーリング調査の開始後においても、必要に応じ追加の措置等を講ずることができるよう、ジュゴン、サンゴ、海草藻場その他自然環境に関する状況を定期的に確認することとしているところである。

四について

 本件ボーリング調査は、普天間飛行場の移設・返還に向けて建設される代替施設の護岸の形状等を検討するために必要不可欠な調査である。
 二についてで述べたとおり、本件ボーリング調査については、第一種事業及び第二種事業のいずれにも該当せず、環境影響評価法の規定に基づく環境影響評価を行う必要はないと考えているが、本件ボーリング調査の実施に際しては自然環境に十分に配慮することとしており、引き続き、地元住民等関係者の理解を得るために必要な努力を行ってまいりたい。

五について

 沖縄県民の負担の軽減のため、政府としては、まずは「沖縄に関する特別行動委員会」の最終報告(以下「SACO最終報告」という。)の着実な実施が必要であり、これに最大限の努力を傾注するとの考えである。
 普天間飛行場の移設・返還については、SACO最終報告、平成十一年十二月二十八日に閣議決定した「普天間飛行場の移設に係る政府方針」(以下「閣議決定」という。)及び平成十四年七月二十九日に政府が策定した「普天間飛行場代替施設の基本計画」(以下「基本計画」という。)を踏まえ、早期にこれを実現すべく、これまでアメリカ合衆国側と緊密に協議してきているところである。政府としては、同飛行場が市街地にあることもあり、一日も早く周辺住民の方々の不安を解消したいと考えており、引き続き、SACO最終報告、閣議決定及び基本計画に従い、沖縄県等の地元地方公共団体と十分協議を行いながら、同飛行場の移設・返還に向けて全力で取り組んでいく考えである。