質問主意書

第161回国会(臨時会)

答弁書


答弁書第九号

内閣参質一六一第九号
  平成十六年十一月三十日

内閣総理大臣臨時代理           
国務大臣 細田 博之   


       参議院議長 扇 千景 殿

参議院議員大田昌秀君提出中国海軍原子力潜水艦の日本領海侵犯に対する対処に関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。



   参議院議員大田昌秀君提出中国海軍原子力潜水艦の日本領海侵犯に対する対処に関する質問に対する答弁書

一及び三について

 海上における治安の維持については、第一義的には海上保安庁の任務であるが、自衛隊法(昭和二十九年法律第百六十五号)第八十二条により、防衛庁長官は、海上における人命若しくは財産の保護又は治安の維持のため特別の必要がある場合には、内閣総理大臣の承認を得て、自衛隊の部隊に海上において必要な行動をとること(以下「海上警備行動」という。)を命ずることができるとされており、お尋ねの事案のように国籍不明の潜水艦が我が国領海内を潜没航行する場合には、海上保安庁のみでは対応することができないと認められることが想定され、このようなときには、海上警備行動の発令を受けて自衛隊が対応することができる。
 改めて申し上げるまでもなく、危機管理体制については、不断の見直しが必要であり、お尋ねの事案に関しても関係各機関の対処内容を総合的に検証し、反省すべき点があれば速やかに必要な改善策を講じてまいりたいと考えている。

二について

 お尋ねの事案における海上警備行動は、平成十六年十一月十日午前八時四十五分に、内閣総理大臣の承認を得て、防衛庁長官が発令したところであり、その時点では、対象である潜没航行する潜水艦は、我が国の領海の外に出ていたものである。当該潜水艦は、二時間弱の間、我が国領海内を潜没航行したが、領海を出た時刻を含む詳細については、潜没潜水艦の追尾行動という秘密保持が強く求められる事柄の性質上、お答えを差し控えたい。
 お尋ねの事案における海上警備行動は、現に国際法違反(領海内での潜没航行)が発生し、我が国の海上における治安の維持に重大な影響を与えるおそれがあったこと、当該潜水艦の進路や、領海と公海が連続する先島群島周辺海域の特性等を勘案すれば、当該潜水艦が再度領海に侵入する蓋然性が高かったことなどを総合的に判断し、当該潜水艦が再度我が国の領海内を潜没航行する場合に、海面上を航行し、かつ、その旗を掲げる旨要求すること及び当該潜水艦がこれに応じない場合には我が国の領海外への退去要求を行うことを目的として、内閣総理大臣の承認を得て発令したものであり、このことが、お尋ねの大野防衛庁長官の答弁と齟齬を来すとの御指摘は当たらないと考える。