質問主意書

第161回国会(臨時会)

質問主意書


質問第二〇号

納税者保護に関する質問主意書

右の質問主意書を国会法第七十四条によって提出する。

  平成十六年十二月二日

齋藤 勁   


       参議院議長 扇 千景 殿



   納税者保護に関する質問主意書

 米国をはじめとする世界の主要国では、納税者の権利を重視し、税務行政手続きを法律で適正化するなど納税者保護への動きを強めていることは、周知のとおりである。
 そこで、消費税の簡易課税制度の選択及び課税選択並びに更正請求のできる期間について、以下質問する。

一、消費税の簡易課税制度の選択及び課税選択について

 平成十五年度税制改正により、消費税の簡易課税制度を選択できる事業者は小規模事業者に限定されることになり、いわゆる益税問題もほとんど解消している。
 今年四月から、消費税を納入しなければならない事業者の年間売上規模が、三千万円から一千万円へ引き下げられた。これにより、ほぼ全事業者に消費税が課税されることになり、消費税の滞納残高が今まで以上に増えることが懸念されている。
 したがって、簡易課税制度の適用については、事前の届出制を廃止し、当該課税期間に係る確定申告書への記載により選択できる方法に変更し、二年間の継続適用の規定を廃止すべきであると考える。これらの変更及び廃止について、可能か不可能か、政府の所見を示し、その理由を具体的に明らかにされたい。

二、消費税の各種届出書及び承認申請書の提出期限及び二年間の継続適用の規定について

 消費税の各種届出書及び承認申請書の効果が納税者に与える影響は大きい。経済環境が著しく変化する中で、当該課税期間の開始前までに適切な判断をすることは困難である。
 特に、相続により事業を継続するときの簡易課税制度選択の届出書については未分割の状態であり、 不確定の段階で提出することは不可能である。
 よって、相続により事業を継続するときの簡易課税制度選択に関する届出書の提出期限は、相続税申告書の提出期限までとすべきであると考える。
 また、二年間の継続適用は課税期間が一年にもかかわらず、二年間を一つの単位としてみなければ判断できないということはきわめて不合理であり、二年間の継続適用は廃止すべきであると考える。
 以上の点について、政府の所見を示されたい。

三、更正の請求をできる期間が現行一年以内であることと後発的理由による更正の請求期間の特例について

 申告納税方式を採用している租税について、課税標準または税額等の計算の誤り等により、納税額が過大であったときの是正措置として、課税庁は減額の更正処分を申告期限から五年間行うことができる一方、納税者は同様の措置としての更正の請求を申告期限から一年間しか行うことができない。
 このため納税者は、法定申告期限後一年超五年以内の期間については、法的根拠のない「嘆願」という方法で課税庁に対して減額更正を要請することになる。また、減額更正が行われるかどうかは、専ら課税庁の裁量にゆだねられているのが実情である。
 経済取引の複雑化に対応して、税法もますます複雑化している現下の状況において、更正の請求の期限を一年間に限定することは、納税者の権利を必要以上に制約することになる。
 更正の請求制度の趣旨が、納税者の権利救済にあることや、減額更正の除斥期間との比較衡量からみても同一期間にすることが妥当であり、この期間は五年以内とすべきと考える。
 さらに、判決の確定等の後発的理由による更正の請求の期限は、現行法上二か月以内に限られている。
 しかし、このような規定が一般納税者に理解されているとは言い難い。納税者の正当な権利を救済する見地から、この期間は一年間とすべきであると考える。
 以上の点について、政府の所見を示されたい。

  右質問する。