質問主意書

第161回国会(臨時会)

質問主意書


質問第一四号

独立行政法人の会計及び監査に関する質問主意書

右の質問主意書を国会法第七十四条によって提出する。

  平成十六年十一月三十日

尾立 源幸   


       参議院議長 扇 千景 殿



   独立行政法人の会計及び監査に関する質問主意書

 独立行政法人は、特殊法人等の問題点(財務、組織・人事管理、事業執行等の細部にわたって国の監督の度合いが高く、組織運営及び業務執行における効率化や質の向上を自発的に図りにくい。)を克服して事業を効率的かつ効果的に実施するため、目標設定や評価に関する仕組みの導入、弾力的な財務運営、組織・人事管理の自立性の確保、業務の定期的な見直しなどを制度化したものである。
 しかし、自立性が高まる一方で独立行政法人の会計や監査の在り方について不適切と思われる事例も見られる。独立行政法人には国庫から運営費交付金が交付されており、その使途は透明かつ適切でなければならない。無駄遣いによって財政赤字が累積し、そのツケが子供たちに回されることを避ける必要がある。
 よって、以下質問する。

一 独立行政法人移行前の特殊法人等の組織で理事等の役員を務め、移行後も引き続き役員を務めている者に対して、移行時に退職金が支払われた事例が三十九法人で確認されている。職員については移行時に退職金が支払われた事例は確認されていないが、退職金の支払について、職員と理事が異なる扱いを受ける合理的理由について説明されたい。

二 退職金が支給された役員に対して、独立行政法人への移行後初めて支給された特別手当の起算日が、当該独立行政法人発足前にまでさかのぼっている事例が国際協力機構、農林漁業信用基金、国民生活センターなど十五法人で確認されている。退職金を受けたということは前身となる組織を退職し、新たに独立行政法人の役員に就任することを意味していると理解しているが、なぜ、特別手当の起算日が移行前の組織の存続時期にまでさかのぼるのか理由を説明されたい。なお、給与規定などの内規を根拠とするのではなく、国民に理解されるか否かという視点で答弁願いたい。

三 移行時に退職金を受けながら、特別手当の起算日は移行前にまでさかのぼっている事例で、農林漁業信用基金が自主返納を検討していると聞く。このほかに自主返納を検討している独立行政法人はあるか否か。また、政府として返納を促す予定があるのかどうか併せて示されたい。

四 独立行政法人通則法は第三十八条で独立行政法人に対して財務諸表の作成と主務大臣による承認を受けること並びに財務諸表及び決算報告書に関して会計監査人の意見を付すことを義務付けるとともに、第三十九条で独立行政法人に対して、財務諸表、事業報告書(会計に関する部分に限る。)及び決算報告書について、会計監査人による監査を受けることを原則として義務付けている。しかし、衆議院議長に提出された「独立行政法人の組織等に関する予備的調査についての報告書」によると、平成十五年度現在で法定監査を受けていない独立行政法人が二十八法人ある。自主性・裁量性を持つと言っても、監査を受けない自主性は考えられない。今後、政府はこのような独立行政法人に対していかなる対応をいつまでに採るのか明らかにされたい。

  右質問する。