質問主意書

第161回国会(臨時会)

質問主意書


質問第一二号

在日米軍の再編と沖縄の負担軽減に関する質問主意書

右の質問主意書を国会法第七十四条によって提出する。

  平成十六年十一月二十二日

糸数 慶子   


       参議院議長 扇 千景 殿



   在日米軍の再編と沖縄の負担軽減に関する質問主意書

 来年は戦後六〇年の節目を迎える。我が国の安全保障を考える上で「駐留米軍」の問題は、イデオロギーを超えて国民的課題である。国民が正確で公正な「安全保障観」を保持するためにも、小泉内閣の日米同盟についての対応姿勢を明快に国民の前に明らかにすべきである。
 小泉首相は一一月一二日の全国知事会議で、在日米軍の再配備について「日本が基地の縮小・削減・補償を含め、案をはっきり持たなければならない」と述べ、政府の方針に地方自治体の意見を反映させる考えを強調したという。ところが今、関係都道府県や地元地方自治体では日米政府間協議の情報が全く届かず、地元地方自治体の意向を整理集約することが極めて困難というのが現状である。このように政府と関係地方自治体との意思疎通が不十分なままでは、国民世論を集約する上で懸念が生じかねない。そこで基本的な点をまず明らかにするため、以下質問する。

一、在日米軍再編の基本方針「抑止力維持」と「負担軽減」について

1 今回の在日米軍の再編に当たって、その基本方針や基本原則として「抑止力維持」と「負担軽減」といったことが言われている。これは日米両政府間で合意された共通の認識であるか。
2 「抑止力維持」において、抑止されるべき脅威の元凶は、冷戦時代とはどう異なるのか。
3 新たな脅威に対する「抑止力」とは、具体的にいかなる対応策で維持されるものか。
4 今後検討される新たな脅威に対する「抑止力」については、「負担」という観点から、どのように具体的に検討されているのか。
5 在日米軍再編の検討の際には、在沖米軍基地の役割と位置付けを明確に示すべきであると考えるが、政府としてはどのように考えるか。その上でどのような「負担軽減」が可能かも併せて示されたい。

二、在沖米海兵隊の駐留意義と国際情勢(安保環境)の変化について

1 かつて、一九九六年の日米安保共同宣言、一九九七年の新ガイドライン、さらに一九九九年の閣議決定(普天間飛行場の移設に係る政府方針)等では、情勢の変化に対応して在日米軍の兵力を検討するとしていた。特に一九九九年の閣議決定では、「国際情勢の変化に対応して、本代替施設を含め、在沖米軍兵力構成等の軍事態勢につき、米国政府と協議していく」とある。今回の米軍再編の政府間協議は、これらの閣議決定等で述べられていた「国際情勢の変化に対応した」日米両政府の協議に当たるのかどうか。
2 従来、日本政府は在沖海兵隊の駐留をどのように意義付けてきたか。それは今後変わるのか、変わるならどのように変わるのか。

三、米軍基地による沖縄県内の負担軽減の理念と実現策について

1 在日米軍の再編で基地の「負担軽減」がいわれる中で、沖縄では現在も名護市辺野古や金武町伊芸区では新たな施設建設が進行中である。政府の言う沖縄の基地負担の軽減とは、どのような理念に基づいてどのように実現しようとしているのか。
2 金武町で建設が進められている「都市型訓練施設」は、我が国では自衛隊の施設も含めて、どこにどれだけの同型施設があるのか。
3 「都市型訓練施設」の安全対策、とりわけ、住民地域や公共施設及び民間施設からの距離等、具体的な安全管理対策はどうなっているか。

四、日米安全保障政策における基地の共同使用と共同訓練について

1 沖縄では、これまで基地の共同使用という場合、那覇空港のように民間と自衛隊の共用や、今後建設予定の普天間代替施設での米軍と民間の共用等が主として問題にされてきた。しかし、今行われている在日米軍再編の日米交渉では、米軍と自衛隊の間での軍事基地の共用や共同訓練が一気に加速拡大する可能性がある。これはいかなる理由によるか。
2 我が国については、これまでも、独立国に長期に外国軍隊が駐留し続ける異常さが指摘されている。この共同使用・共同訓練の流れは、在沖米軍基地にどう具体的な影響を与えるか。

  右質問する。