質問主意書

第161回国会(臨時会)

質問主意書


質問第九号

中国海軍原子力潜水艦の日本領海侵犯に対する対処に関する質問主意書

右の質問主意書を国会法第七十四条によって提出する。

  平成十六年十一月十九日

大田 昌秀   


       参議院議長 扇 千景 殿



   中国海軍原子力潜水艦の日本領海侵犯に対する対処に関する質問主意書

 中国海軍と見られる原子力潜水艦(以下「中国原潜」という。)が十一月十日、沖縄県宮古列島の多良間島周辺の日本領海を潜行し、日本領海を侵犯したとの情報を受けて、追跡に当たった海上自衛隊の哨戒機P3Cがそれを確認、その後、小泉首相の承認を得て大野防衛庁長官が海上警備行動を発令した。
 この件について、去る十一月十一日の参議院外交防衛委員会で、海上警備行動を発令した理由などについて防衛庁にただしたところ、大野防衛庁長官は「海洋法に関する国際連合条約の第二十条で、潜水した船その他水中航行機器は、領海においては、海面上を航行し、かつ、その旗を掲げなければならないとなっているからである。」との趣旨の答弁を行った。
 よって、次のとおり質問する。

一、我が国において不審船の領海侵犯の対処などの海上における治安維持の任務は、本来、海上保安庁の担当すべきものであると考えるが、本件のように国籍不明の潜水艦が我が国領海内へ侵入した場合、その対応は第一義的には海上保安庁の任務になるのか、それとも海上自衛隊の任務になるのか、見解を示されたい。

二、本事案における海上警備行動の発令は、中国原潜が我が国の領海外に出てからのことであると報じられているが、それは事実かどうか。また、事実であるとすれば、中国原潜が我が国の領海を出た時刻及び発令した時刻を明らかにされたい。あわせて、領海に出た後の発令であれば、海洋法に関する国際連合条約第二十条で定める領海内での義務が中国原潜にあるとは言えないが、前述の大野防衛庁長官の答弁と齟齬を来すと言えないか、見解を示されたい。

三、海上自衛隊の海上警備行動は、万一、対処を誤れば他国との外交問題に発展しかねない事案であると考える。今回、海上警備行動によるトラブルが起きなかったから事なきを得たが、十一月十六日に、中国が領海侵犯を認め、遺憾の意を表明したことから言っても、本事案は海上保安庁が対処すべきことであったと思われる。今後の同種事態に対し、海上保安庁と海上自衛隊との対処の区別及び両者間連携など、今回の事案をどのように教訓化して対応する考えなのか、明らかにされたい。

  右質問する。