質問主意書

第160回国会(臨時会)

質問主意書


質問第一八号

厚生労働省職員の監修料受領による補助金還流問題に関する質問主意書

右の質問主意書を国会法第七十四条によって提出する。

  平成十六年八月五日

山本 孝史   


       参議院議長 扇 千景 殿



   厚生労働省職員の監修料受領による補助金還流問題に関する質問主意書

 厚生労働省国民健康保険課の職員約三十人が、社団法人国民健康保険中央会を始めとする厚生労働省の外郭団体や出版社など約二十法人から、厚生労働省が交付する補助金で制作された冊子などの「監修料」を受け取り、平成十五年までの四年間で監修料の総額が一億八千万円余りに上っていたことが明らかとなった。
 問題の本質は、補助金の一部が厚生労働省の担当職員に監修料として還流する仕組みである。こうした還流システムの下で補助事業が行われると、交付される補助金の査定が甘くなっているのではないかとの疑念が生じる。また、担当職員が監修料支払いの有無、その額の多少を基準に補助金の箇所付けを行っているのではないかという疑念も生じる。
 そもそも補助金は国民の税金であり、たとえ違法性が明白でなくとも、補助事業を実施するに当たって一部の公務員が優越的な地位を利用して私腹を肥やすことは、断じて許されない。こうした事態が二度と起こらないよう、徹底的な調査と適切な対応策を講じることは極めて重要な課題である。
 このような観点から、以下質問する。

一、報道では、平成十二年以前から、監修料名目で多額の報酬が国民健康保険課の職員に支払われていたとされている。何年前からこうした慣行があり、監修料として、どの法人からいくら受け取ったのか、明らかにされたい。

二、今回の事件は、個人でなく組織的に長期にわたって行われていた点で、厚生労働省全体にはびこる体質を表しているとも考えられる。国民健康保険課だけでなく、補助金を扱う他の部署でも同様の慣行が存在している可能性が否定できない。厚生労働省がこれから行うとしている内部調査は、省内全体を対象とするものか。

三、制度改正に伴う広報に関する監修業務は、厚生労働省の本来業務であるとも考えられるが、国の補助事業で行う広報に関する監修料については、少なくとも国民が疑念を抱くことのないよう、積極的に情報を公開すべきである。そこで、厚生労働省の全職員を対象とした調査の結果、監修料受領状況について、監修料の事由ごとに、その回数、監修料の金額を明らかにするとともに、監修者の役職及び人数について、局部課室別かつ係長級、課長級といった職階別に分類し、明らかにされたい。

四、厚生労働省は、補助金還流のような不祥事を引き起こさないために、今後、具体的にどのような対策を講じようとしているのか、明らかにされたい。

  右質問する。