質問主意書

第160回国会(臨時会)

質問主意書


質問第一〇号

社会保険庁のホームページにおける「年金額簡易試算」の誤表示に関する質問主意書

右の質問主意書を国会法第七十四条によって提出する。

  平成十六年八月三日

山本 孝史   


       参議院議長 扇 千景 殿



   社会保険庁のホームページにおける「年金額簡易試算」の誤表示に関する質問主意書

 先般、社会保険庁のホームページにおいて、あってはならない重大なミスが発覚した。ホームページの「年金見込額試算」コーナーのうち「年金額簡易試算」において、年金を受給できないにもかかわらず相当な額の年金が受給できる、本来受給できる額の倍以上もの多額の年金が受給できるなどといった誤った年金見込額の試算が表示されていたのである。同庁は指摘を受けて、ホームページ上で謝罪し、訂正を行ったという。
 この「年金額簡易試算」は、厚生労働省が、だれでも利用できることをうたい文句に、国民向けのサービスとして導入したものである。しかしながら、当該ミスにより間違った試算結果が提示されたため、老後の生活設計に役立てようとしている利用者に重大な結果をもたらしているものと思われる。
 単純なプログラム・ミスが原因とも言われているが、影響は誠に深刻である。
 そもそも、社会保険庁による年金支給額の計算は、受給者本人による検証が容易ではない。今回、社会保険庁の「年金額簡易試算」に単純なプログラム・ミスがあったことで、全国で約三千万人の公的年金受給者に実際に支払われている年金額が正しい額かどうか、疑念が生じている。今後、同様の事態が繰り返されることのないよう、問題が発生した経緯を明らかにする必要がある。
 このような観点から、以下質問する。

一、ホームページ上の「年金見込額試算」コーナー及び「年金額簡易試算」について、責任を有する部署はどこか。

二、ホームページに「年金見込額試算」コーナー及び「年金額簡易試算」を掲載した経緯を明らかにされたい。

三、「年金額簡易試算」のプログラム(以下「当該プログラム」という。)について、その作成手順を明らかにされたい。

四、当該プログラムは内部で作成したのか、それとも外部の業者に発注したのか。業者に発注したのであれば、業者の選定はどのように行われたのか。また、当該業者の受注実績とプログラム作成に要した日数及び費用について回答されたい。

五、当該プログラムは、導入されてから数年にわたって、欠陥に気付かないままホームページ上で公開され続け、外部からの指摘によって初めて誤表示が発覚したといわれている。
 当該プログラムは、いつからホームページの利用者に供されているのか。訂正されるまでの期間と、その間の利用者数も併せて明らかにされたい。

六、当該プログラムに対する社会保険庁内部での検証作業は、どのようなものだったのか。また、なぜ、外部からの指摘を受けるまで、気が付かなかったのか、その原因を明らかにされたい。

七、当該プログラムを業者に発注したものである場合、当該業者に対し他に発注したプログラムはあるのか。その場合、プログラムの検証は徹底的に行われているのか。

八、老後の生活設計において、公的年金は極めて重要な収入源である。社会保険庁のホームページにある「年金額簡易試算」サービスを利用して、老後の生活設計を立てていた者にとって、誤った年金見込額が表示されていたことは、老後の生活設計を揺るがしかねない危険性がある。
 この問題に対する政府の認識と対応を示されたい。

九、「年金額簡易試算」のプログラム・ミスに関し、社会保険庁は、ホームページ上で誤りを明らかにして謝罪を行っている。しかしながら、この「誤りに対するお詫び」は「年金見込額試算」コーナーのページとは異なり、社会保険庁のトップページからのみリンクされているため、これまでの利用者が「年金見込額試算」コーナーのページにブックマークを付したりリンクを張っていたりすると、年金額の表示に誤りがあったことに気が付かない可能性が高い。
 これまでの利用者に対する注意を喚起するのであれば、「年金見込額試算」コーナーのページにこそ掲載されてしかるべきではないかと考えるが、社会保険庁の対応を示されたい。

  右質問する。