第160回国会(臨時会)
質問第二号 平成一六年年金改正法に関する質問主意書 右の質問主意書を国会法第七十四条によって提出する。 平成十六年七月三十日 小川 敏夫
参議院議長 扇 千景 殿 平成一六年年金改正法に関する質問主意書 先の通常国会で成立した年金改正法に対して、国民から多くの疑問が寄せられている。そこで同法について質問する。 一 改正法の給付水準下限の根拠 年金改正法において法定する「給付水準の下限」五〇%の論理的根拠は何か。この場合、いわゆる「モデル世帯」における所得代替率を法定しているが、なぜそれ以外の世帯類型について「給付水準の下限」を法定しないのか。 二 改正法の保険料率引き上げ率の根拠 年金改正法では、今後厚生年金では保険料率を年〇.三五四%、国民年金では保険料を年二八〇円(平成一六年度価格)引き上げるとしている。その根拠は何か。 三 改正法における給付水準確保のあり方 今回の改正法による改正後の国民年金法第一六条の二の第一項には「国民年金事業の財政が(中略)財政均衡期間にわたってその均衡を保つことができないと見込まれる場合には、給付額を調整するもの」とある一方で、改正法附則第二条第三項では「政府は(中略)(所得代替率が)百分の五十を下回ることが見込まれる場合には、(「モデル世帯の所得代替率が百分の五十を上回ることとなるような給付水準を将来にわたり確保する」とする)前項の趣旨にのっとり、(中略)調整期間の終了について検討を行い」とある。この二条を見る限り、財政検証の結果、年金財政の逼迫が明らかとなった場合に、給付額を「調整」するのか、給付額は維持し、他の要素で調整を行うのかが明らかではない。その関係を明らかにせよ。 四 給付と負担のあり方の検討の具体的内容 年金改正法附則第二条第三項にある「給付及び負担のあり方についての検討」とは具体的に何を指し、「所要の措置」とはどのような措置を想定しているのか。 五 年金保険料の負担年齢上限の相違 厚生年金においては在職の場合七〇歳まで年金保険料の負担が求められ、国民年金においては事業を継続していても六〇歳を超えると負担はしない。その根拠は何か。 六 社会保障全体の見直しのスケジュール 政府は現在法律の規定に基づき、平成一七年度の介護保険見直し、平成一八年度の医療保険制度見直しを進めているが、一方で官房長官の下に「社会保障のあり方に関する懇談会」を設置し、また改正年金法の附則において「社会保障制度全般について、一体的な見直しを行う」ことを義務づけられている。これらの関係はどうなるのか。それぞれのとりまとめ時期の目途、見直しの内容に関する役割分担及び前記の既定スケジュールとの関係を明示されたい。 右質問する。 |