質問主意書

第159回国会(常会)

答弁書


答弁書第一五号

内閣参質一五九第一五号
  平成十六年六月四日
内閣総理大臣 小泉 純一郎   


       参議院議長 倉田 寛之 殿

参議院議員浅尾慶一郎君提出国家公務員宿舎に関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。



   参議院議員浅尾慶一郎君提出国家公務員宿舎に関する質問に対する答弁書

一の1について

 所得税法(昭和四十年法律第三十三号)第三十六条及び所得税法施行令(昭和四十年政令第九十六号)第八十四条の二の規定により、給与所得者たる使用人が雇用主の資産を専属的に利用している場合において、雇用主に支払っている使用料がその資産の利用について通常支払うべき使用料より低い額であるときは、その差額である経済的利益の額は、その給与所得者の収入金額に含まれて課税対象となる。
 給与所得者たる使用人が雇用主から住宅を貸与されている場合は、その住宅の貸与が職務と密接に関連しており安定性に乏しい点で一般の賃貸住宅の貸与と性格を異にしている面があること等を考慮し、通常支払うべき使用料の月額を別紙の計算式により算定する旨を、国税庁の所得税基本通達で定めている。
 また、給与所得者が実際に支払っている使用料の額がこの計算式により算定した額の五十パーセント相当額以上であるときは、その給与所得者が住宅を貸与されることによる経済的利益はないものとする旨を、所得税基本通達で定めている。
 この場合において、別紙の計算式により算定した通常の使用料の額は、全体としてみれば妥当な基準となっていると考えられるが、個々の家屋の老朽の程度、構造等の違いにより、必ずしもその利用価値を反映しない場合もあるため、雇用主が、住宅を貸与したすべての給与所得者から、その住宅の状況に応じて均衡のとれた使用料を徴収しているときは、住宅の貸与に係る経済的利益の有無を、個々の住宅ごとでなく、貸与している住宅の全部又は事業所等ごとの住宅の全部を基として判定して差し支えない旨を、所得税基本通達で定めている。
 これらは、国家公務員の場合であっても同様に適用される。

一の2について

 平成十五年四月一日における、東京都内及び横浜市内の国家公務員宿舎について別紙の計算式により算定した通常の使用料の額、これらの国家公務員宿舎の実際の使用料の額及びこれらの国家公務員宿舎の駐車場の実際の使用料の額は、別表第一のとおりである。
 なお、一般に、雇用主が住宅を貸与している使用人に対し、住宅の敷地の一部を駐車場として貸与する場合は、その駐車場を設置・維持するために要する費用を基礎として合理的に算定した使用料を徴収していれば、その駐車場の貸付けを受けたことによる経済的利益はないと考えられるが、これについては、その算定方法を所得税基本通達に特に定めていない。

一の3について

 一の1についてでお答えしたとおり、所得税基本通達では、雇用主がその貸与した住宅の状況に応じて均衡のとれた使用料を徴収しているときは、住宅の貸与に係る経済的利益の有無を、貸与している住宅の全部又は事業所等ごとの住宅の全部を基として判定して差し支えないこととしている。
 個々の国家公務員宿舎の使用料の額は、国家公務員宿舎法(昭和二十四年法律第百十七号)に基づき、建物の経過年数、立地条件等の国家公務員宿舎の状況に応じて算定されており、維持管理機関ごとに平成十五年四月一日現在で国家公務員宿舎に入居しているすべての者の実際の使用料の額及び別紙の計算式により算定した通常の使用料の額をそれぞれ合計した額は、別表第二のとおりである。これによれば、課税対象となる経済的利益は存在していないと言えるので、課税すべき者はいない。
 駐車場については、一の2についてでお答えしたとおり、駐車場を設置・維持するために要する費用を基礎として合理的に算定した使用料を徴収していれば、その駐車場の貸付けを受けたことによる経済的利益はないと考えられるが、国家公務員宿舎の駐車場については、同法第十五条に基づき駐車場を設置・維持する費用を基礎として使用料を合理的に算定し徴収しているため、課税すべき者はいない。

二について

 民間企業の役員に貸与する住宅については、昭和三十五年十二月の税制調査会の答申において、現物給与の取扱いのうち、一部の会社役員等の高級住宅に対する取扱いのように行き過ぎと認められるものに対しては、その改善について検討すべきであるとの指摘がなされた。そのような住宅が出現するようになった要因としては、民間企業の役員が住宅の設置やその使用について実質的に決定できる立場にあることが考えられる。こうしたことを踏まえ、民間企業の役員に貸与される住宅の使用料の額について一の1についてで述べた基準により評価することは、税負担の公平を図る観点から適当でないため、これを異なる計算式により評価する旨を所得税基本通達で定めている。
 しかし、国家公務員宿舎の設置やその使用については、法律及び法律により委任を受けた政省令に基づき定められており、民間企業の役員が住宅の設置やその使用について実質的に決定できる立場にあるのとは事情を異にしているので、幹部職員である国家公務員についても、民間企業の役員に貸与する住宅に係る通常支払うべき使用料の額を定めた所得税基本通達は適用しないこととしている。
 このように、国家公務員については、民間企業の役員と同じ基準で比較することは適当でないため、お尋ねの指定職以上の幹部職員である国家公務員にこの通達を適用した場合に課税されることとなる職員数と課税金額については、答弁を差し控えたい。

別紙

別表第一 1/11

別表第一 2/11

別表第一 3/11

別表第一 4/11

別表第一 5/11

別表第一 6/11

別表第一 7/11

別表第一 8/11

別表第一 9/11

別表第一 10/11

別表第一 11/11

別表第二