質問主意書

第159回国会(常会)

答弁書


答弁書第四号

内閣参質一五九第四号
  平成十六年三月五日
内閣総理大臣 小泉 純一郎   


       参議院議長 倉田 寛之 殿

参議院議員小池晃君提出「新たな小児慢性特定疾患対策」に関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。



   参議院議員小池晃君提出「新たな小児慢性特定疾患対策」に関する質問に対する答弁書

一並びに二の1及び2について

 第百五十九回国会に提出した児童福祉法の一部を改正する法律案により改正される児童福祉法(昭和二十二年法律第百六十四号)第二十一条の九の二に規定する事業(以下「新治療研究事業」という。)においては、患者の健全な育成を図るため、治療が長期にわたる小児慢性疾患の治療方法の研究に資する医療の給付等を行うこととしている。
 新治療研究事業の対象疾患については、予算の範囲内において、現在の小児慢性特定疾患治療研究事業(以下「現治療研究事業」という。)の対象疾患を基本としつつ、よりその治療方法の確立及び普及が求められる疾患を追加するとともに、医療技術の進歩により現在では急性疾患に分類される疾患等を除外することとしている。現時点においては、新治療研究事業の疾患数は現治療研究事業よりも約二十増加するものと見込んでおり、今後、更に専門家の意見を聴いた上で最終的に決定したいと考えている。
 また、新治療研究事業の対象者数については、対象疾患の追加及び除外、通院患者への拡大、二十歳未満までの年齢延長等の事業の改善及び重点化により数千人程度の増加を見込んでいるが、現時点においてその詳細な内訳をお示しすることは困難である。

二の3及び三について

 平成十六年度予算案における小児慢性特定疾患治療研究事業に係る補助金の額は、対象疾患の追加及び除外、通院患者への拡大、二十歳未満までの年齢延長等の現治療研究事業の見直し等を総合的に勘案して算出したものであり、対象疾患の追加及び除外により増減する予算額並びに新治療研究事業の対象となる患者数の内訳を個別にお示しすることは困難である。

四について

 新治療研究事業の実施と併せて、福祉サービスとして、患者に対する日常生活用具の支給を行うとともに、患者を養育していた親による助言及び相談等の体制を充実することとしている。
 前者の実施主体は市町村及び特別区であり、後者の実施主体は都道府県、保健所を設置する市及び特別区であり、これらの事業に係る国の補助金として約一億円計上しているところである。

五の1及び2について

 個々の患者が新治療研究事業の対象となるか否かについては、新たに設定される医学的基準を踏まえ、新治療研究事業の実施主体である地方公共団体において、専門家によって構成される協議会の意見を聴いた上で適正に判断されるものと考えている。なお、事業の改善及び重点化による対象者数の減少及び予算額への影響については、当該医学的基準がまだ設定されていないこと等からお示しすることは困難である。

五の3について

 現治療研究事業については、長期間の治療を要する重度の患者に対して医療の確立及び普及を図り、併せて患者の家庭の医療費の負担軽減にも資することを目的として実施されてきたものであるが、医療技術の進歩により治療方法の改善も見られることから、事業の改善及び重点化を行うものである。

六の1について

 新治療研究事業においては、生活保護法(昭和二十五年法律第百四十四号)の適用を受ける被保護世帯及び市町村民税が非課税の世帯からは費用を徴収しないこと並びにそれ以外の世帯からは所得に応じた費用を徴収することとしており、費用の徴収を行わない患者は対象患者の約一割になると見込んでいる。
 また、費用徴収の総額は医療費の自己負担分の約一割に相当する額と見込んでおり、一人当たりでは、平均で年間約二万円と見込んでいる。

六の2について

 新治療研究事業の対象となる世帯数については把握していないが、そのうち市町村民税が非課税の世帯が占める比率については、約一割と見込んでいる。

六の3について

 新治療研究事業における費用徴収については、患者団体の意見も参考にしつつ、低所得者にも配慮して行うこととしており、「患者負担の導入により、医療を必要とする子どもが経済的理由のため医療機関から遠ざけられ病状を悪化させる事態が生じる危険性がある」との御指摘は当たらないものと考えている。