質問主意書

第159回国会(常会)

答弁書


答弁書第二号

内閣参質一五九第二号
  平成十六年三月五日
内閣総理大臣 小泉 純一郎   


       参議院議長 倉田 寛之 殿

参議院議員小池晃君外二名提出国際基準に基づく深夜労働の軽減と郵政事業における深夜労働の改善に関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。



   参議院議員小池晃君外二名提出国際基準に基づく深夜労働の軽減と郵政事業における深夜労働の改善に関する質問に対する答弁書

一について

 お尋ねの「国際労働基準」とは、国際労働機関(ILO)において採択された条約(以下「ILO条約」という。)を指すものと考えられるところ、ILO条約については、それぞれの条約の目的、内容、我が国にとっての意義等を十分検討した上で、批准することが適当と考えられるものについては、国内法制等との整合性を確保した上で批准することとしている。ILO第百七十一号条約において、労働者は一定の場合には自己の請求により健康状態についての評価を無料で受ける権利を有する旨規定していることと、我が国において、労働者にはそのような権利は付与されていない一方で、事業者は労働者に対して無料で定期的に健康診断を行わなければならないとされていることとの関係等について整合性が確保されていないため、現時点で同条約を批准することは困難であり、慎重な検討が必要であると考える。

二について

 御指摘の深夜業に係る割増賃金は、深夜の時間帯における労働が通常の時間帯における労働よりも強度であること等に対する労働者への補償として、その支払が義務付けられているものである。現行の割増率は、このような制度の趣旨に照らして適切なものと考えており、現時点において、これを引き上げることが必要とは考えていない。

三について

 深夜業については、これまでも、労働者の深夜業への従事状況、深夜業に従事する労働者の健康状況など様々な観点から調査を実施してきているところであり、今後とも必要に応じて調査を行ってまいりたい。

四について

 日本郵政公社(以下「公社」という。)における職員の給与、労働時間その他の労働条件については、公社において、日本郵政公社法(平成十四年法律第九十七号)、特定独立行政法人等の労働関係に関する法律(昭和二十三年法律第二百五十七号)、労働基準法(昭和二十二年法律第四十九号)その他の関係法令の規定に基づき、関係労働組合との団体交渉を行い、労働協約を締結すること等により決定されるものと承知している。

五について

 公社の職員は労働安全衛生法(昭和四十七年法律第五十七号)の適用を受けるものであり、公社は、同法第三条の規定に基づき、快適な職場環境の実現と労働条件の改善を通じて職場における職員の安全と健康を確保するようにしなければならないものである。

六及び七について

 労働基準法の一部を改正する法律(平成十年法律第百十二号)附則第十二条及び同法の国会審議における附帯決議の趣旨を踏まえ、平成十一年度から「労使による深夜業に関する自主的ガイドライン作成支援事業」を通じ、七業種において深夜業に従事する労働者の就業環境の改善等に関し労使による自主的な取組が行われるよう支援を行ってきた結果、当該七業種において自主的なガイドラインが策定されているところである。今後は、公社を含め、当該七業種以外の関係者に対し、必要に応じて、これらのガイドラインに関する情報の提供を通じ、自主的な取組の促進を働きかけてまいりたい。
 また、公社の職員の労働条件については、公社において、関係法令に基づき、関係労働組合との団体交渉を行い、労働協約を締結すること等により決定されるものである。したがって、公社の深夜業に係る労働条件についても、公社において、職員の就労実態等も踏まえつつ、このような仕組みの下、適切に決定されることとなるものと考えている。