質問主意書

第159回国会(常会)

質問主意書


質問第二六号

港湾運送事業法における関連下請契約に関する質問主意書

右の質問主意書を国会法第七十四条によって提出する。

  平成十六年六月十日

又市 征治   


       参議院議長 倉田 寛之 殿



   港湾運送事業法における関連下請契約に関する質問主意書

 港湾運送事業法第一六条第二項に定める下請となるためには、一般港湾運送事業者と下請をさせようとする他の港湾運送事業者との間に、港湾運送事業法施行規則第一一条の二に定める「密接な関係」が存在することが必要であり、その「密接な関係」の判断基準については、昭和四三年八月一六日付け港政第二一二号運輸省港湾局長通達(以下「通達」という。)をもって運用されることが、第一〇一回国会の衆議院運輸委員会において運輸省より明言されている。
 通達には、その判断基準の一つとして、一般港湾運送事業者と下請事業者の間に一定の営業保証の契約が存在することが明記されているが、この件について以下質問する。

一、私が平成一五年一〇月二日に提出した「港湾運送事業法改正に伴う国土交通省(旧運輸省)の指導に関する質問主意書」に対し、政府は一〇月三一日付け答弁書において、「通達は、・・・各地方運輸局長等に対して示されたものであり、国土交通省においては、一般港湾運送事業者と下請事業者の間で締結される『関連下請契約書』の作成に関し、これらの事業者に対して特段の指導は行っていない。」と答弁しているが、各地方運輸局はこの通達をどのように運用してきたのか。
 また、実際に一般港湾運送事業者と下請事業者との関連下請契約書に通達の別紙第一の二(4)の内容がそのまま盛り込まれていることから見ても、各地方運輸局がこの通達を運用し、指導した結果と考えるがいかがか。
 さらに、関連下請契約書の作成に関し、国土交通省においては指導は行っていないという答弁は、各地方運輸局の指導が国土交通省の指導と異なることもあるという趣旨か、併せて明らかにされたい。

二、一般港湾運送事業者と下請事業者との関連下請契約書に関し、平成一四年一二月二〇日東京地方裁判所判決及び平成一五年六月二四日東京高等裁判所判決において、それぞれ無効の判断がされている。
 判決の主な理由は、「年間契約トン数の八〇%以上を取り扱うために必要な直接作業費に相当する額の支払いを補償する」という内容が「契約締結時に一般港湾運送事業者が補償金を支払う意思を有しておらず、下請事業者はその意思を認識していた」というものである。これは、通達の内容についても現実的でないことを示すものと思うが、見解はいかがか。

三、関連下請契約書が無効と考えるなら、どのような指導をするのか。
 その際、無効の状態を解消するために、例えば「契約の解消」が手段として使われることになれば、通達の別紙第一の二(4)の冒頭で記載されている「当該一般港湾運送事業者が当該下請事業者に対して行う営業保証によって裏づけられているものであること」という下請事業者の保護の理念を裏切ることになると考えるがいかがか。

四、関連下請契約書が有効と考えるなら、一般港湾運送事業者が契約を履行しない場合、平成一五年に下請いじめ防止に向け改正された下請代金支払遅延等防止法に抵触すると考える。
 また、関連下請契約書が無効であるとしても、一般港湾運送事業者がそれを解消すべく一方的に契約の解消を申し出ることについても下請いじめとなると考える。
 こうしたことは商行為であり行政は関与できないということであれば、そもそも港湾運送事業は特殊な業務であることからわざわざ港湾運送事業法及びその施行規則も商行為に踏み込んでいるものであり矛盾すると考える。これらについて、見解をそれぞれ示されたい。

  右質問する。