質問主意書

第159回国会(常会)

質問主意書


質問第一九号

我が国公務員の守秘義務に関する質問主意書

右の質問主意書を国会法第七十四条によって提出する。

  平成十六年五月七日

浅尾 慶一郎   


       参議院議長 倉田 寛之 殿



   我が国公務員の守秘義務に関する質問主意書

 昨年、個人情報の保護に関する法律が制定され、個人情報の適正な取扱いに関し施策の基本となるべき事項が規定される等により、個人の権利利益に対する一応の保護が図られることとなった。これにより、今後は民間人にも個人情報の保護に関する具体的な義務が課せられることになるのであり、元々国家公務員法による守秘義務が課されている国家公務員には、民間に範を示す意味でも、法律の趣旨の徹底が望まれる。
 ところが、昨年六月九日の本会議における私の質疑に関し、質疑を行う前の六月六日付けで私の事務所に電子メールが送りつけられるという遺憾な事例が生じた。そのメールの文面は以下のとおりである。
 「拝啓 私はある省で働いている職員組合員です。月曜日の参議院本会議での貴殿の質疑内容を拝見いたしました。公務員給与を二割削減して失業者に生活補助金と職業能力開発資金を提供する、これが日本型ワークシェアリングだとおっしゃられます。これでは、真面目に働く公務員が馬鹿をみる、それならば失業した方がましということになってしまいます。少なくとも、ワークシェアリングとはその分労働義務も移転しますが、そこまで考えておられるのでしょうか。いやしくも本会議でそのような質問をされるということであれば、組合としても対応を検討せざるを得なくなるものと思われます。ご提示されている統計の真偽も定かではありませんが、バブル時代の日本興業銀行勤務、留学派遣でMBAを取得してすぐ退社という経歴だけでも世間の目は厳しいものがあるということを十分ご認識の上行動を自重されんことを祈念申し上げます。敬具」
 国家公務員の守秘義務は憲法第一五条第二項にいう「全体の奉仕者」であることにもかんがみて課せられているものであり、政府は国家公務員法の趣旨を更に徹底させる必要がある。
 このような観点から、標記について以下質問する。

一、昨年六月九日の本会議質疑に関係し、私の事務所のメールアドレスあてに右のような文面のメールが送りつけられ、私個人のみならず私の事務所の職員もが閲覧できる状態になった。かかる行為は職員が職務上知ることのできた秘密を漏らしたものであり、国家公務員法第一〇〇条第一項に違反するのではないか。違反するとすれば、政府には刑事訴訟法第二三九条第二項により、告発義務が生ずると考えるが、政府の見解はどうか。

二、政府は、かかる事態の再発防止のため、どのようなことに具体的に取り組むのか。

  右質問する。