質問主意書

第159回国会(常会)

質問主意書


質問第五号

北海道警察の裏金づくりに関する質問主意書

右の質問主意書を国会法第七十四条によって提出する。

  平成十六年二月十八日

中村 敦夫   


       参議院議長 倉田 寛之 殿



   北海道警察の裏金づくりに関する質問主意書

 現在、北海道警察は、旭川中央警察署の報償費支出について、裏金づくりがあったとの疑惑を持たれている。
 昨年十二月には、同警察署の元署長二人が約五十万円の報償費を不正に受給したとして、住民が住民監査を請求した。この請求を受け、北海道監査委員が「捜査協力者」とされた市民に事情を聴取したところ、十一人が報償費を受け取っていないと回答した。その結果、北海道監査委員は、監査請求を棄却したものの、会計書類に記載されている報償費の支払先について、不実記載の疑いを指摘した。
 また、本年二月十日、旭川中央警察署長及び北海道警察本部釧路方面本部長を歴任した原田宏二元警視長が、札幌市内で記者会見を行い、北海道警察本部における裏金づくりの実態を証言した。原田元警視長によると、裏金づくりは組織的に行われ、国費による捜査費も裏金の名目とされていたという。
 北海道警察本部に限らず、これまでも警察庁、警視庁及び全国の警察本部は、裏金づくりの疑いを指摘されてきた。もし裏金づくりが事実であれば、緊急に、警察の徹底的な浄化を図らねばならない。
 以上の観点から、次の事項について質問する。なお、問題の緊急性にかんがみ、国会法第七十五条第二項に規定するとおり、質問主意書を受け取った日から七日以内に答弁されたい。また、同様の文言が並ぶ場合でも、各項目ごとに平易な文章で答弁されたい。

一、原田元警視長によると、北海道警察本部及び各警察署では、警察庁の監督の下、会計検査院の検査をごまかしてきたという。会計検査院は、これまで警察庁、警視庁及び全国の警察本部に対し、どのような検査を行ってきたのか。具体的に示されたい。

二、原田元警視長によると、北海道警察本部及び各警察署では、国費の旅費、捜査費などを裏金づくりに流用していたという。会計検査院は、これまでの検査方法で原田元警視長の指摘するような裏金づくりを発見できたか。

三、今後、会計検査院は、警察庁、警視庁及び全国の警察本部に対し、事前通告をせずに検査すべきであると考えるが、どうか。できないのであれば、理由も併せて示されたい。

四、政府は、警察庁、警視庁及び全国の警察本部における裏金づくりの実態を明らかにするために、警察庁から独立した調査機関を設置すべきであると考えるが、どうか。できないのであれば、理由も併せて示されたい。

五、北海道監査委員の事情聴取に対し、「捜査協力者」とされた十一名の市民が報償費を受け取っていないと回答した。よって、政府は、北海道警察本部及び各警察署における「捜査協力者」に対し、事情を聴取すべきであると考えるが、どうか。できないのであれば、理由も併せて示されたい。

六、北海道警察本部及び各警察署は、会計検査院の検査に対しては「捜査協力者」の氏名を明らかにするものの、北海道監査委員の監査に対しては守秘義務を理由に「捜査協力者」の氏名を伏せている。この矛盾について、本年二月十二日の衆院予算委員会において、警察庁の吉村博人官房長は「会計検査院は会計検査という専門職。監査委員の場合は、異動もあるだろうし、地縁血縁のつながりもあると思うので、差が出るのはやむを得ないと承知している」との認識を示した。
1 吉村官房長の答弁によると、すべての検査官及び会計検査院職員は、日本国内に一切の「地縁血縁のつながり」を有していないと思われるが、事実か。
2 吉村官房長の答弁によると、すべての検査官及び会計検査院職員は、会計検査院を除くあらゆる政府機関、政府関係機関、地方自治体及び民間機関に所属していた経歴を有していないと思われるが、事実か。
3 吉村官房長の答弁によると、北海道監査委員及び同監査委員事務局職員は、監査の専門性を有していないと思われるが、事実か。
4 1から3までが事実でないならば、会計検査院に対すると同様に、都道府県の監査委員に対しても「捜査協力者」の氏名を明らかにすべきではないか。それでも明らかにできないのであれば、合理的な理由を示されたい。
5 1から3までが事実でないならば、吉村官房長の答弁は、北海道監査委員及び同監査委員事務局に対する根拠無き誹謗中傷に当たると思われるが、どうか。

七、警察庁は、北海道警察本部及び各警察署に対し、報償費支払などで領収書の架空名義の使用を是認していると聞く。しかし、架空名義による領収書で公費を支出することは、刑法第百五十六条の虚偽公文書作成、同第百五十八条の偽造公文書行使、同第百五十九条の私文書偽造及び同第百六十一条の偽造私文書等行使の犯罪行為にそれぞれ該当する。また、前記各条は一切の例外規定を設けていない。それにもかかわらず、警察庁が報償費支払などで領収書の架空名義を使うという犯罪行為を是認しているのはなぜか。その理由を、明確な法根拠と併せて示されたい。

  右質問する。