質問主意書

第157回国会(臨時会)

答弁書


答弁書第六号

内閣参質一五七第六号
  平成十五年十一月十四日
内閣総理大臣 小泉 純一郎   


       参議院議長 倉田 寛之 殿

参議院議員井上美代君提出遺伝子組換え作物の食品への混入表示に関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。



   参議院議員井上美代君提出遺伝子組換え作物の食品への混入表示に関する質問に対する答弁書

一について

 大豆、とうもろこし等については、適切な分別生産流通管理が行われたとしても組換えDNA技術応用作物の混入が避けられないと考えられたため、食品衛生法施行規則(昭和二十三年厚生省令第二十三号)における組換えDNA技術応用作物である食品である旨等の表示の基準を定めるに当たって実態調査等を行ったところ、我が国においては適切な分別生産流通管理が行われたものであっても組換えDNA技術応用作物が最大五パーセント程度混入する可能性があると確認された。
 これを踏まえ、同規則第五条第十五項及び「食品衛生法施行規則及び乳及び乳製品の成分規格等に関する省令の一部を改正する省令等の施行について」(平成十三年三月十五日付け食発第七十九号厚生労働省医薬局食品保健部長通知)により、分別生産流通管理を行ったことが確認された食品であって、事業者の意図せざる五パーセント以下の組換えDNA技術応用作物の混入したものについては、組換えDNA技術応用作物である食品である旨等の表示を義務付けないことを示したところであり、その表示の基準については、現時点において適当なものであると考えているが、欧州連合(EU)における表示基準の設定の背景は明確に判明しておらず、今後、組換えDNA技術応用作物である食品に関する流通管理の変化、国連食糧農業機関(FAO)及び世界保健機関(WHO)合同の食品規格委員会(以下「コーデックス委員会」という。)における議論の推移等を踏まえつつ、必要に応じて検討してまいりたい。

二について

 加工食品の原材料の原産地の表示については、現在、農林物資の規格化及び品質表示の適正化に関する法律(昭和二十五年法律第百七十五号)第十九条の八の規定に基づく基準(以下「品質表示基準」という。)が定められている農産物漬物、うなぎ加工品等八品目を除いて義務付けられていない。しかしながら、消費者に対する品質についての情報提供を充実させる必要があることから、厚生労働省薬事・食品衛生審議会食品衛生分科会表示部会食品表示調査会と農林水産省農林物資規格調査会表示小委員会が共同で開催している食品の表示に関する共同会議(以下「共同会議」という。)が本年八月六日に取りまとめた報告書において、一定の要件を満たす加工食品について品質表示基準を改正し、原材料の原産地の表示を義務付けること等の方向性が示されたところである。
 この報告書に示された方向性に従い、同年十一月十二日に原材料の原産地の表示を義務付ける加工食品の品目(以下「義務表示対象品目」という。)の案を公表したところであり、今後、本案に対する国民からの意見を十分踏まえるとともに、共同会議における調査審議等を経て、義務表示対象品目を決定してまいりたい。

三について

 組換えDNA技術応用作物である食品である旨等の表示義務の対象については、適正な監視指導を実施する観点から、組換えDNA技術応用作物を含むことを科学的に検証できる食品であることが適当と考えている。
 このため、大豆油、しょうゆ等のように、組み換えられたDNA及びそれにより生成されたたんぱく質が製造又は加工の過程において除去又は分解され、これらを含むことを検証することができないものについて、組換えDNA技術応用作物を原材料とする加工食品である旨等の表示義務の対象とすることは現時点において適当ではないと考えているが、その表示義務の対象については、今後、組換えDNA技術応用作物である食品に関する流通管理の変化、コーデックス委員会における議論の推移等を踏まえつつ、必要に応じて検討してまいりたい。