質問主意書

第157回国会(臨時会)

答弁書


答弁書第四号

内閣参質一五七第四号
  平成十五年十一月十一日
内閣総理大臣 小泉 純一郎   


       参議院議長 倉田 寛之 殿

参議院議員平野貞夫君提出福岡県警察における「カジノバー汚職事件」に関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。



   参議院議員平野貞夫君提出福岡県警察における「カジノバー汚職事件」に関する質問に対する答弁書

一の1及び2について

 お尋ねの事件(以下「本事件」という。)の端緒については、福岡県警察において、匿名の通報と公表しているものと承知している。
 本事件については、福岡県警察において、その通報を受けた後、所要の捜査を尽くし、平成十三年十二月十日から平成十四年五月三日までの間に、収賄被疑者として警察官四名を逮捕するとともに、贈賄被疑者六名を逮捕し、平成十三年十二月十一日から平成十四年六月十八日までの間に福岡地方検察庁検察官に送致したものと承知している。
 本事件の被疑事実については、収賄被疑者四名が贈賄被疑者六名から、捜査に関する情報提供等への謝礼として、平成九年八月十二日ころから平成十三年十月三十日ころまでの間に、職務に関する賄賂である現金合計三千百二十万円を収受したものであると承知している。

一の3について

 本事件については、福岡地方検察庁において、平成十三年十二月二十八日から平成十四年五月二十四日までの間に、収賄罪により警察官四名を福岡地方裁判所に公判請求するとともに、贈賄罪により五名を福岡地方裁判所に公判請求したほか、贈賄罪について送致を受けた一名を起訴猶予を理由に不起訴処分としたものと承知している。
 本事件の公訴事実は、収賄被告人四名が贈賄被告人五名らから、捜査に関する情報提供等への謝礼として、平成九年八月十二日ころから平成十三年十月三十日までの間に、職務に関する賄賂である現金合計三千百二十万円を収受したものであると承知している。
 その公判経過は、平成十四年十一月十八日から平成十五年五月二十七日までの間に、各被告人に対し、第一審において有罪判決が言い渡され、贈賄被告人一名については控訴審係属中であるが、その余の被告人については第一審判決が確定したものと承知している。
 第一審判決においては、各被告人に対して、主刑として懲役一年二月ないし懲役四年(贈賄被告人一名に対しては、執行猶予が付された。)が言い渡されたものと承知している。

一の4及び5について

 本事件は、基本的には、個々の職員の職務倫理意識の欠如によるほか、警察の許認可業務ないし捜査事務における管理体制の不備に起因するものと考えているところであり、これを踏まえ、福岡県警察において、再発防止に向けた諸施策を推進しているものと承知している。

二の1及び2について

 御指摘の「報告書」は、福岡県筑紫野警察署に勤務していた警察官が平成八年ころに作成した文書を指すものと思われるが、福岡県警察において、その当時、同文書の作成者その他の関係者からの聞き取りその他所要の調査を尽くしたが、同文書に記載されていた事実は認められなかったものと承知している。
 また、同文書は、現在、福岡県警察本部警務部において保管されているものと承知している。

二の3について

 当該警察官については、二の1及び2についてで述べた文書作成前の平成七年九月、福岡県博多警察署から同県筑紫野警察署に異動しているが、これは定期の人事異動によるものであり、当該文書の作成とは関係のないものであると承知している。また、同人は、平成十二年三月、自らの希望により退職したものと承知している。

二の4について

 内部告発者の保護については、国民生活審議会消費者政策部会において、事業者による法令遵守を確保して消費者利益の擁護等を図るため、公益のために通報を行ったことを理由として労働者が解雇等の不利益な取扱いを受けることのないよう保護する公益通報者保護制度の整備の必要性が提言されたところである。政府としては、この提言を踏まえ、同制度の整備に向けて早急に具体的検討を進める方針である。

三の1について

 福岡県警察においては、厳正な監察の実施、警察署における許認可関係業務の指導及び暴力団捜査情報の管理に係る体制強化、職務倫理教養の充実等の諸施策を推進しているものと承知している。

三の2について

 福岡県警察においては、収賄被疑者四名に対し、地方公務員法(昭和二十五年法律第二百六十一号)第二十九条第一項第一号、第二号及び第三号の規定に該当するとして懲戒免職の処分を行い、これらの職員を管理監督すべき立場であった十名に対し、適切に管理監督しなかったとして本部長訓戒等を行ったものと承知している。
 また、警察庁においては、収賄被疑者四名を管理監督すべき立場であった前同県警察本部長及び同県警察本部長に対し、適切に管理監督しなかったとして警察庁長官注意を行った。
 このほか、福岡県警察においては、贈賄被疑者等から供応接待を受けるなどしていた八名のうち、四名に対しては、地方公務員法第二十九条第一項第一号の規定に該当するとして減給六月(俸給月額の百分の十)等の処分を行い、四名に対しては、福岡県警察職員服務規程(昭和六十年福岡県警察本部訓令第十一号)第十九条に規定する「交際の制限」等に違反するとして本部長訓戒等を行い、また、これらの職員を管理監督すべき立場であった三名に対し、適切に管理監督しなかったとして本部長注意を行ったものと承知している。

三の3及び4について

 三の2についてで述べた処分を受けた者については、福岡県警察において、本処分を勘案した上、職員の能力、適性等を総合的に判断し、人事異動等を行っているものと承知している。

三の5について

 警察改革が進められている最中に、このような事案が発生したことについては誠に遺憾である。

三の6について

 警察においては、厳正な監察の実施、職務倫理教養の充実、業務における管理体制の強化等の諸対策の推進に努めている。
 しかし、最近においても、なお職員の非違行為の発生が認められるところであり、その再発防止のための諸施策を更に継続的に推進することが重要であると考えている。