質問主意書

第157回国会(臨時会)

答弁書


答弁書第三号

内閣参質一五七第三号
  平成十五年十月三十一日
内閣総理大臣 小泉 純一郎   


       参議院議長 倉田 寛之 殿

参議院議員又市征治君提出港湾運送事業法改正に伴う国土交通省(旧運輸省)の指導に関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。



   参議院議員又市征治君提出港湾運送事業法改正に伴う国土交通省(旧運輸省)の指導に関する質問に対する答弁書

一及び二について

 港湾運送事業法(昭和二十六年法律第百六十一号。以下「法」という。)第十六条第二項に定める下請(以下「関連下請」という。)となるためには、一般港湾運送事業者と下請をさせようとする他の港湾運送事業者(以下「下請事業者」という。)との間に、港湾運送事業法施行規則(昭和三十四年運輸省令第四十六号。以下「規則」という。)第十一条の二に定める「密接な関係」が存在することが必要であるところ、その運用方針を定めた「港湾運送事業の近代化・集約化について」(昭和四十三年八月十六日付け港政第二百十二号運輸省港湾局長通達。以下「通達」という。)においては、「密接な関係」を判断するための基準の一つとして、一般港湾運送事業者と下請事業者の間に一定の営業保証の契約が存在することが示されている。
 国土交通省においては、右の営業保証の契約の履行状況等関連下請の制度の運用の実態を含め、個別具体的な港湾運送事業の実態を、必ずしもすべての港湾運送事業者について常時把握しているわけではないが、法の適切な施行を確保するため必要と認める場合は、港湾運送事業者に対し事業に関する報告をさせるとともに、必要な指導等を行ってまいりたい。

三について

 御指摘の「関連下請契約書の作成の段階で指導した」との意味が必ずしも明らかではないが、一及び二についてで述べたとおり、通達は、規則第十一条の二の運用方針として各地方運輸局長等に対して示されたものであり、国土交通省においては、一般港湾運送事業者と下請事業者の間で締結される「関連下請契約書」の作成に関し、これらの事業者に対して特段の指導は行っていない。

四について

 御指摘の「船部分、労働部分を下請に回すことができることにした」との意味が必ずしも明らかではないが、昭和五十九年の法の一部改正の趣旨は、一般港湾運送事業者が一定量以上の貨物に係る港湾運送をコンテナ埠頭等の施設において自らの統括管理の下において行う場合には、その引き受けた港湾運送を当該事業者と密接な関係を有する港湾運送事業者に下請させることを認めることにより、一般港湾運送事業者に係る下請に関する規制の弾力化を図ったものである。

五について

 はしけ運送事業及びいかだ運送事業については、港湾施設の整備、港湾貨物のコンテナ化の進展等により、その貨物取扱量は減少してきている。これは、港湾施設並びに海上貨物輸送及び荷役形態等の構造的な変化によるものであり、今後も減少傾向は続くものと考えられる。
 しかしながら、はしけ等による輸送が効率的な不定型貨物、重量の重い貨物等も存在することから、はしけ運送事業及びいかだ運送事業は、今後とも必要な港湾運送の事業形態であると認識している。

六について

 はしけ運送事業については、昭和四十八年度から平成三年度にかけて四回にわたり、国庫補助や財団法人港湾運送近代化基金による助成金、融資等による、はしけ等の買上廃棄等を行ってきたところである。
 今後とも、国土交通省においては、はしけによる運送貨物量の減少等に対応すべく、作業の共同化、事業の協同組合化等を推進してまいりたい。