質問主意書

第157回国会(臨時会)

質問主意書


質問第一一号

えびの市に設置されたVLF通信基地に関する質問主意書

右の質問主意書を国会法第七十四条によって提出する。

  平成十五年十月八日

吉岡 吉典   


       参議院議長 倉田 寛之 殿



   えびの市に設置されたVLF通信基地に関する質問主意書

 えびの市高野の国有林に一九九〇年、総工費約百億円をかけて建設されたVLF(超長波)通信基地は、かつて建設に先立ち地元を始め隣接する熊本県、鹿児島県の住民から大きな反対を押し切って完成されたものである。一九八八年三月には、全国各地から一万五千人が参集した「VLF反対九州総決起集会」が市内の河川敷で催されるなど、同基地が果たす危険な軍事的役割に対するとともに高圧電流を用いることによる被害を心配しての反対の声が根強くあった。
 今日、米軍依佐美基地のVLF通信所が廃止されたため、えびの市のVLF通信基地は、年々その密接度を増している日米共同作戦体制の中にますます組み込まれた超長波通信施設として、世界中に通信網を延ばす日米同盟共同の要となっている。我が党は、住民の反対を押し切り建設されたVLF通信基地は、直ちに撤去されるべきであると主張する。
 その上で更に重大なのは、えびの市に対して基地交付金が交付されないまま推移していることである。併せて、基地ができる以前は市の財源になっていた国有林の固定資産税が、基地建設後には市に入らなくなったという。日本共産党えびの市議団は、「住民の反対を押し切ってVLF通信基地を建設されたえびの市が国から基地交付金を受け取るのは当然であり、固定資産税が入らなくなるのは問題だ」と市議会で何度も指摘してきた。えびの市当局はこれに対して、「基地交付金の対象になっていないので、毎年、政府に要求している。しかし、一向に解決が図られない」と答弁している。
 そこで、質問する。

一 基地交付金は、米軍や自衛隊の施設が市町村の区域内に広大な面積を占め、かつこれらの施設が所在することによって市町村の財政に著しい影響を及ぼしていることを考慮して、固定資産税の代替的性格を基本としながら交付されるものという。えびの市が高圧電流を使って地域に危険をもたらしているVLF通信基地により多大な負担を被っているにもかかわらず、基地交付金の対象とされないのはなぜか。また、法や政令で対象にならないとされているなら、実態に合うように改正を進め基地交付金を交付すべきと考えるが、どうか。

二 国が地方自治体に例外的に固定資産税相当額を払う仕組みである国有資産等所在市町村交付金の制度では、国有林野の管理経営に関する法律に規定する国有林野に係る土地について、国有資産等所在市町村交付金の交付対象になるため、以前は国有林であったえびの市のVLF通信基地についても一九八八年まで同交付金を受けていた。これが国の都合でVLF通信基地になったからといって、一方的に同交付金の交付が取りやめになることは、市の財政に多大な影響を及ぼすものではないか。正に代替的措置として、基地交付金を交付すべきものではないか。

三 全国の地方自治体のうち、同様の事情で固定資産税交付金の交付が取りやめになったところがあるか。ある場合、その名称を示されたい。

四 区域内に基地や駐屯地を抱える自治体で、国に対して要望しているにもかかわらず基地交付金が交付されていないところはどこか。それらの自治体は、いかなる施設について基地交付金の交付を要望しているか。交付されない根拠は何か。

  右質問する。