質問主意書

第157回国会(臨時会)

質問主意書


質問第六号

遺伝子組換え作物の食品への混入表示に関する質問主意書

右の質問主意書を国会法第七十四条によって提出する。

  平成十五年十月六日

井上 美代   


       参議院議長 倉田 寛之 殿



   遺伝子組換え作物の食品への混入表示に関する質問主意書

 農林水産省農林水産政策研究所は二〇〇三年一〇月に「食の安全と安心に関する意識調査」結果を公表している。この調査は、インターネットを活用して行われ、送信総数一一四万八三四〇通、有効回答数は五八九名である。このアンケート調査によると「非遺伝子組換え食品より安ければ、遺伝子組換え食品を買ってもよい」と思うかとの質問に対して六七・七%の人が否定的で、肯定的な回答は一七・一%である。また「通常の食品と同じ値段で、ビタミンが多く栄養価が高いならば買ってもよい」と思うかとの質問に対して、否定的回答は五九・九%、肯定的回答は二三・八%である。
 この調査結果で示されたように、多くの国民は遺伝子組換え食品に対して健康に与える影響に不安を持ち、食べることに否定的である。
 今、スーパー、デパート、商店で販売されている納豆、パック詰めの豆腐や味噌の表示はほとんどが「遺伝子組換え原材料は使っていません」「非遺伝子組換え大豆使用」などとなっている。農林水産政策研究所のアンケート結果やテレビなどでの消費者の声の多くは遺伝子組換え食品を食べることに否定的である。
 厚生労働省は、厚生労働省医薬局食品保健部長通知(二〇〇一年三月一五日食発第七九号。以下「本通知」という。)で、分別生産流通管理(遺伝子組換え作物及び非遺伝子組換え作物を生産、流通及び加工の各段階で善良なる管理者の注意をもって分別及び管理を行い、その旨を証明する書類により明確にした管理)が行われていたことを確認した非遺伝子組換え作物である食品又はこれを原材料とする加工食品については、任意表示として「遺伝子組換えではない」との表示をしてもよいとしている。
 ところが同じ通知で、遺伝子組換えの大豆及びとうもろこしの混入率が五%以下の場合は遺伝子組換えのものが混入していても「遺伝子組換え原材料不使用」「非遺伝子組換え原材料使用」などの表示をしてもよいと規定している。
 これでは、消費者が納豆や豆腐、味噌を買うとき、遺伝子組換え原材料を使った食品を購入したくないと思って「遺伝子組換え原材料不使用」「非遺伝子組換え大豆使用」と表示したものを購入しても遺伝子組換え原材料が五%までの混入率の遺伝子組換え食品を食べてしまうことになる。
 本通知は国民に誤解を与えるものでありこれを改めるべきであると考え、以下質問する。

一、坂口厚生労働大臣は、食品への遺伝子組換え原材料の混入率について、二〇〇三年五月一五日の参議院厚生労働委員会での私の質疑に対し「五%であろうと三%であろうと、その入っておりますことが明確に検査をすることができる、そして区別することができるというのであれば、私は何らかの措置を今後していかなければならないというふうに思います」と答弁している。
 厚生労働省は、大豆、とうもろこし、豆腐、油揚げなどについて、遺伝子組換えの混入率を約〇・一%まで検出できるとしている。現在EUにおいては遺伝子組換え原材料の混入率が〇・九%以下のものについてのみ「遺伝子組換え原材料不使用」「非遺伝子組換え大豆使用」などの表示を認めている。本通知の「五%以下」との規定をEUなみの〇・九%以下に早急に改めるべきではないか。

二、表示基準を改めることと併せて、原材料の産地を表示すべきではないか。

三、食用油、しょうゆなどは遺伝子組換えの大豆、菜種などを使ったものであっても、厚生労働省はそれらを分析して遺伝子組換え原材料を使ったものであるか判別する技術がないとして「遺伝子組換え原材料使用」などの表示をしなくてもよいとしている。消費者の要望に応え、遺伝子組換え原材料を使用している場合は、その表示を義務付けるべきではないか。

  右質問する。