質問主意書

第157回国会(臨時会)

質問主意書


質問第五号

CS放送に関する質問主意書

右の質問主意書を国会法第七十四条によって提出する。

  平成十五年十月六日

平野 貞夫   


       参議院議長 倉田 寛之 殿



   CS放送に関する質問主意書

 CS放送は、百社を超える委託放送事業者のうち、その大半は赤字であり、もうかっているのは「ポルノ」だけという誠に惨憺たる状態になっている。このままでは、委託放送事業者の多くが、債務の累積によって事業を休止あるいは廃止に追い込まれ、遠からず我が国においてはCS放送を行うことができなくなるおそれすら予想される。
 そのようなことになれば、今日のような高度に発展した情報化社会において、迅速に良質な情報を伝達する有力な手段を失うこととなり、国家国民にとって大きな損失である。
 CS放送が事業として成り立たなくなっている原因の一つは、通信衛星を運行しているジェイサット株式会社の委託放送料金が高額過ぎることと、CS放送を行う上で株式会社スカイパーフェクト・コミュニケーションズがその優越的地位を濫用して、委託放送事業者に不利な取引条件を押し付けていることにあると考えられる。
 そこで、CS放送事業を健全に発展させることによって、真に国家国民の利益に資するため、ジェイサット株式会社及び株式会社スカイパーフェクト・コミュニケーションズによる優越的地位の濫用と委託放送事業者に対する不利な取引条件の押し付けを禁止する必要がある。
 このような立場から、次の点について質問する。

一 委託放送事業者である株式会社シー・ネットが、平成十四年三月二十日、公正取引委員会に対し、ジェイサット株式会社及び株式会社スカイパーフェクト・コミュニケーションズの行為について、独占禁止法第三条及び第十九条に該当するものとして、同法第七条及び第二十条に基づく措置請求を行ったと聞くが、これについての公正取引委員会の処分はどのようになっているか明らかにされたい。

二 公正取引委員会は、右措置請求を受けて、一体、どのような調査を行ったのか具体的に明らかにされたい。

三 右措置請求について、公正取引委員会が何らかの処分を行っているとすれば、その処分を行った理由を明らかにされたい。

四 株式会社スカイパーフェクト・コミュニケーションズが、平成十三年十一月一日から募集し始めた「ベーシック・パック」に参加している委託放送事業者間の放送料金の分配の妥当性について、公正取引委員会がどのように認識しているか明らかにされたい。

五 公正取引委員会は、株式会社スカイパーフェクト・コミュニケーションズが、CS放送における優越的地位に基づいて、委託放送事業者間の「ベーシック・パック」の放送料金の分配を取り仕切ったという事実について、どのように認識しているか明らかにされたい。

六 株式会社スカイパーフェクト・コミュニケーションズやジェイサット株式会社が、平成十三年十一月頃、株式会社シー・ネットに対し、委託放送事業者の廃業届を出し、番組制作会社になるよう要求した事実があるが、公正取引委員会は、このような両者の行為が優越的地位の濫用に当たるという判断を行わなかったのかどうか、もし、行わなかったとすれば、それはなぜか、理由を明らかにされたい。

七 公正取引委員会は、CS放送業界において、ジェイサット株式会社及び株式会社スカイパーフェクト・コミュニケーションズが、委託放送事業者に対し、優越的地位を有しているとの認識を持っているのかどうか明らかにされたい。

八 公正取引委員会は、我が国におけるCS放送事業の健全な発達を図るため、ジェイサット株式会社及び株式会社スカイパーフェクト・コミュニケーションズの業界における独占的地位にかんがみて、その濫用が生じないようどのような監視を行うのか明らかにされたい。

  右質問する。