質問主意書

第157回国会(臨時会)

質問主意書


質問第三号

港湾運送事業法改正に伴う国土交通省(旧運輸省)の指導に関する質問主意書

右の質問主意書を国会法第七十四条によって提出する。

  平成十五年十月二日

又市 征治   


       参議院議長 倉田 寛之 殿



   港湾運送事業法改正に伴う国土交通省(旧運輸省)の指導に関する質問主意書

 港湾運送にかかわる下請事業量の激減により、はしけ運送事業者など下請事業者は廃業に追い込まれるなど、危機的な状況にある。
 昭和五九年の第一〇一回国会において港湾運送事業法が改正されたが、元来旧運輸省は、小規模なはしけ業者等が一般港湾運送事業者の関連下請事業者となるための条件の一つとして「長期の専属下請契約に類する契約と経済上の利益の提供」という昭和四一年に追加された港湾運送事業法施行規則の条文を示していた。さらに、右国会の衆議院運輸委員会において同省は、関連下請契約については昭和四三年に出された通達「港政第二一二号」が適用される旨、答弁している。
 よって下請事業者保護の立場から、以下のとおり質問する。

一、昭和四三年旧運輸省港湾局長発の各地方海運局長宛通達「港政第二一二号」では、その別紙において「『専属の下請契約』は、次のことを条件とする」として、「当該下請契約の年間契約トン数が、当該下請事業者の年間取扱可能トン数の八〇%以上であること」などが明記されており、これら契約が、「当該一般港湾運送事業者が当該下請事業者に対して行う営業保証によって裏付けられているものであること」としている。
 さらに、「この場合において、営業保証は当該下請契約の年間契約トン数の八〇%以上を取り扱うために必要な直接作業費に相当する額の支払を保証する旨の契約とする」と明記されている。
 この「専属の下請契約」の内容に関し、特に「営業保証は当該下請契約の年間契約トン数の八〇%以上を取り扱うために必要な直接作業費に相当する額の支払を保証する」という部分については、昭和五九年五月一一日の衆議院運輸委員会で運輸省側が「関連下請契約にはこの規定を適用していきたい」旨説明している。
 現在、一般港湾運送事業者が当該下請事業者に対して行う営業保証がどの程度守られているのか、具体的に示されたい。
 また、実態を把握していないのであれば、それはなぜか。国の指導した事項について守られているかどうかの監視は必要と考えるが、国土交通省の見解を明らかにされたい。

二、営業保証を守っていない元請事業者に対し、現在、国土交通省及び各地方運輸局はどのような指導を行っているのか、明らかにされたい。
 また、今後、どのような指導を行うのか、明らかにされたい。

三、関連下請契約が商行為であり、行政は立ち入らないという判断であるなら、関連下請契約書の作成の段階で指導したというのは、商行為への介入ではないのか、見解を示されたい。

四、昭和五九年の港湾運送事業法の改正において、港湾運送事業者が船部分、労働部分を下請に回すことができることにしたことは、いずれ将来的にはこの分野が衰退するという見込みがあったのではないかとの推測もされるが、コンテナの普及などが当時から予測されていたにもかかわらず、あえて船と労働のそれぞれの分野を下請できるようにした意図はどこにあったのか、明らかにされたい。

五、今後、はしけやいかだなどの港湾運送事業に関し、どのような展望、位置付けを持っているのか、明らかにされたい。

六、はしけによる運送事業に関し、規制緩和や新規事業への誘導など、監督省として、支援策が講じられるべきと考えるが、見解を示されたい。

  右質問する。