質問主意書

第156回国会(常会)

答弁書


答弁書第三六号

内閣参質一五六第三六号
  平成十五年七月二十五日
内閣総理大臣 小泉 純一郎   


       参議院議長 倉田 寛之 殿

参議院議員又市征治君提出医薬品販売の規制緩和の危険性に関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。



   参議院議員又市征治君提出医薬品販売の規制緩和の危険性に関する質問に対する答弁書

一について

 総合規制改革会議の委員については、規制改革全般について優れた識見を有する者のうちから、学識経験、産業分野、性別等を考慮し、偏りなく、適切に選任しているところである。また、同会議は、調査審議の過程において、課題の内容に応じて様々な専門的立場の者から意見を聴くとともに、必要があるときは専門委員が任命され、様々な角度から幅広い検討を行っているところであり、同会議の委員の構成に問題はないものと考えている。

二について

 医薬品は、疾病の治療等の効能を有する一方で、副作用による健康被害を発生させるおそれもある。
 このため、一般用医薬品を含めた医薬品の安全性に関する情報については、厚生労働省において、医薬品によるものと疑われる副作用症例、当該医薬品に係る安全対策の概要等を掲載した「医薬品・医療用具等安全性情報」を毎月発行するとともに、その内容を同省のホームページに掲載する等、医薬品のより安全な使用のための情報提供を行っているところである。
 また、医薬品は、専門的知識を有する薬剤師等による情報提供等を伴って販売されるべきものであるため、薬事法(昭和三十五年法律第百四十五号)は、原則として薬剤師等が配置された薬局等に限って医薬品の販売を許可するとともに、消費者に対する情報提供を行う努力義務を課している。厚生労働省においては、毎年度、都道府県の協力を得て、薬剤師等の配置、情報提供の実施等に関する医薬品等一斉監視指導を行う等、薬局等に対する監視指導に努めているところである。

三について

 医薬品等一斉監視指導における立入検査の結果によれば、平成十三年度には、薬局の二・六パーセント、一般販売業の二十二・六パーセントで立入検査時に薬剤師が不在であり、また、平成十四年度には、薬局の二・五パーセント、一般販売業の二十三・一パーセントで立入検査時に薬剤師が不在であった。

四について

 総務省においては、平成十三年六月、厚生労働省に対し「医薬品に関する行政評価・監視結果に基づく勧告」を行ったところであり、これに対する改善措置状況の調査を行ってきている。
 お尋ねの「対面指導販売」に関しては、薬局及び一般販売業の店舗における薬剤師の配置、薬剤師による情報提供等の状況について、毎年度、厚生労働省が都道府県の協力を得て医薬品等一斉監視指導等を行い、実態を把握し、指導を行っているところである。
 総務省においては、今後とも、国会での御議論、厚生労働省における取組等を踏まえつつ、行政評価・監視等においていかなる対応が可能か検討してまいりたい。

五について

 医薬品の適正使用を図るため、薬事法は、原則として薬剤師等が配置された薬局等に限って医薬品の販売を許可するとともに、消費者に対する情報提供を行う努力義務を課している。
 また、薬物乱用の防止については、覚せい剤取締法(昭和二十六年法律第二百五十二号)、麻薬及び向精神薬取締法(昭和二十八年法律第十四号)等に基づき、医療用麻薬等の流通を厳しく規制するほか、これらの規制の対象外であって乱用のおそれのある医薬品についても、不適正使用を防止するため、薬局に対する行政指導を行うとともに、医薬品販売業者等の関係団体による自主規制が行われているところである。
 このように、医薬品販売業者等の協力も得て、医薬品の適正な使用の推進に努めており、これが、医薬品による健康被害の発生及び薬物乱用を防止するために一定の役割を果たしてきていると考えているところであり、今後とも、このような取組を推進してまいりたい。

六及び七について

 平成九年三月二十八日に閣議決定された規制緩和推進計画においては、「医薬品のうち人体に対する作用が比較的緩和で、販売業者による情報提供の努力義務を課すまでもないものについて、一般小売店においても販売できるよう、医薬品のカテゴリーを見直す」とされ、平成十年三月の中央薬事審議会医薬品販売規制特別部会の報告書において、一部の医薬品について「現行「医薬部外品」のカテゴリーに編入させることにより、販売の自由化を行うことが適当である」とされたことを受けて、厚生省(当時)は、ビタミン含有保健剤等の十五製品群を医薬品から医薬部外品へ移行させたところである。
 医薬品の一般小売店における販売については、本年六月二十七日に閣議決定された「経済財政運営と構造改革に関する基本方針二〇〇三」において、「利用者の利便と安全の確保について平成十五年中に十分な検討を行い、安全上特に問題がないとの結論に至った医薬品すべてについて、薬局・薬店に限らず販売できるようにする」とされたところであり、今後、医学、薬学等の専門家の意見を聴きつつ、適切に対応してまいりたい。