質問主意書

第156回国会(常会)

答弁書


答弁書第一八号

内閣参質一五六第一八号
  平成十五年五月九日
内閣総理大臣 小泉 純一郎   


       参議院議長 倉田 寛之 殿

参議院議員櫻井充君提出アメリカ合衆国のイラク攻撃と使用する兵器に関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。



   参議院議員櫻井充君提出アメリカ合衆国のイラク攻撃と使用する兵器に関する質問に対する答弁書

一の1について

 政府としては、今回のアメリカ合衆国(以下「米国」という。)のイラク共和国に対する軍事行動において劣化ウラン弾が実際に使用されたか否かについて承知していない。なお、劣化ウラン弾の影響については、国際機関等による調査が行われており、例えば、国際連合環境計画や世界保健機関がコソボで行った調査の報告においては、劣化ウラン弾の人体及び環境に対する影響はほとんどない旨の結論であったと承知しているが、国際的に確定的な結論が出されているとは承知していない。いずれにせよ、劣化ウラン弾は、「過度に傷害を与え又は無差別に効果を及ぼすことがあると認められる通常兵器の使用の禁止又は制限に関する条約」(昭和五十八年条約第十二号。以下「特定通常兵器使用禁止制限条約」という。)の規制の対象ではなく、その使用を禁止する他の国際法規もない。

一の2について

 政府としては、米国の軍隊が保有するクラスター爆弾の子爆弾が不発となる割合について承知していない。

一の3について

 クラスター爆弾と地雷は使用目的及び使用方法を異にすること、また、クラスター爆弾には様々なものがあり、その不発の子爆弾の状態も様々であると考えられることから、一概に両者を同列に論ずることは適当ではない。

一の4について

 クラスター爆弾は、「対人地雷の使用、貯蔵、生産及び移譲の禁止並びに廃棄に関する条約」(平成十年条約第十五号。以下「対人地雷禁止条約」という。)の規制の対象ではなく、その使用を禁止する他の国際法規もない。米国は、従来より、クラスター爆弾の投下に当たっては、その特性にかんがみ、注意深く目標を選定し、民間人が巻き添えになることを防ぐよう努めてきたものと承知している。

一の5について

 平成十四年十二月の特定通常兵器使用禁止制限条約の締約国会合及び爆発性戦争残存物に関する政府専門家グループ会合において、御指摘のように爆発性戦争残存物が引き起こす人道的問題に早急に取り組まなければならない旨主張したのは、現在、特定通常兵器使用禁止制限条約の枠組みにおいて行われている爆発性戦争残存物の危険を減じるための紛争終了後の一般的な対応措置についての文書の交渉及び子爆弾を含む特定弾薬の設計を改良するために取り得る予防的措置に関する研究に政府としても積極的に参加していきたいとの趣旨からである。

一の6について

 政府としては、米国に対し、様々な機会に対人地雷禁止条約の締結を求める働きかけを行っている。

二の1について 

 政府としては、包括的核実験禁止条約の早期発効に向け、米国を含む同条約未締結の国に対して同条約の早期締結に向けた働きかけを行っている。

二の2について

 政府として、他国による兵器の保有の詳細について把握しているわけではないが、米国及びロシア連邦は、大量破壊兵器である核兵器や化学兵器を他国と比較して多数保有しているところ、近年、核兵器を削減し、化学兵器の廃棄を進めていると承知している。

二の3について

 政府としては、米国が特定の国に対して武力行使を行わなかった理由について承知していない。

二の4について

 政府としては、様々な国際問題について我が国を含む世界の国々と緊密に協議し、協力していくことが米国の基本的な姿勢であると考えている。