質問主意書

第156回国会(常会)

答弁書


答弁書第一四号

内閣参質一五六第一四号
  平成十五年五月十六日
内閣総理大臣 小泉 純一郎   


       参議院議長 倉田 寛之 殿

参議院議員紙智子君提出北海道斜里、小清水、斜網西部の国営土地改良事業に関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。



   参議院議員紙智子君提出北海道斜里、小清水、斜網西部の国営土地改良事業に関する質問に対する答弁書

一について

 御指摘の斜里、斜里(二期)、小清水及び斜網西部の国営土地改良事業(以下「各土地改良事業」という。)の地域については、斜里町朱円地域にあっては奥蘂別川頭首工を取水源とする配水施設の機能が損なわれていること、小清水地区にあっては現存する施設が一部を除き水源からほ場まで連接した形態となっていないこと、網走市にあっては地下水、沢水等を水源とする施設がほ場まで連接した形態となっていないこと、南網走地域にあっては御指摘の肥培かんがいは行われていないこと、斜網西部地区にあっては現状において既存のかんがい施設の機能が損なわれていることから、「水利状況」の欄に、国営小清水土地改良事業を除く各土地改良事業の変更計画概要書においては「該当なし」と記載し、国営小清水土地改良事業の変更計画概要書においては当該概要書のとおり記載したものである。
 また、各土地改良事業の受益地域における用水については、作物の生育に必要な水の供給が主として降雨に依存していることから、それぞれの変更計画概要書のとおり記載したものである。
 以上のような各土地改良事業の変更計画概要書に記載されている地域の現況は、現地調査、既存資料の収集及び分析並びに関係機関からの聴取り等に基づき適切に記載されており、変更計画概要書の公告及び縦覧を再度実施することは考えていない。

二の1について

 お尋ねの年増加見込所得額については、「土地改良事業における経済効果の測定方法について」(昭和六十年七月一日付け農林水産省構造改善局長通知)等に基づき、別紙に示す計算式により算定している。

二の2について

 お尋ねの品質向上の根拠については、北海道内において既に畑地かんがいが実施されている他地区の実態調査結果から得た事業実施後に導入が見込まれる作物ごとの規格等級別生産量比率等を基に、別紙で示した計算式により算定しているものである。
 なお、農業生産向上効果のうち作物生産効果における年増加所得額は、事業実施後に新たに導入が見込まれる作物ごとの作付面積及び計画単収をも織り込んで算定するものであり、例えば、主要作物であるばれいしょ、てんさい等の増収割合のみが所得の増加につながるものではない。

二の3について

 お尋ねの農業経営向上効果における生産費の削減の根拠については、各土地改良事業の受益地域における事業実施後の実作業率を考慮した機械利用時間、労働時間等を基に、別紙で示した計算式により算定しているものであり、御指摘の平成十二年産の北海道平均の生産費に基づき算定しているものではない。

二の4及び5について

 各土地改良事業とこれに関連する北海道営土地改良事業等における畑地かんがい施設については、農家の意向を踏まえた上で技術的及び経済的な検討を行い、ほ場まで新規に整備することとしたものであり、御指摘のような負担金の償還で経営が困難となるような事態は、想定していない。

三について

 国営土地改良事業計画の変更は、申請によらず、農林水産大臣自らが行うこととなっているが、提出された意見書については、変更後の国営土地改良事業計画を農林水産大臣が定めるに当たり、その内容を当該国営土地改良事業計画に反映させることが適当か否かを検討するとともに、北海道や関係市町村にその内容を通知することとしている。

別紙 年増加見込所得額の計算式