質問主意書

第156回国会(常会)

答弁書


答弁書第一三号

内閣参質一五六第一三号
  平成十五年四月十五日
内閣総理大臣 小泉 純一郎   


       参議院議長 倉田 寛之 殿

参議院議員中村敦夫君提出ETCに関する再質問に対し、別紙答弁書を送付する。



   参議院議員中村敦夫君提出ETCに関する再質問に対する答弁書

一について

 日本道路公団、首都高速道路公団、阪神高速道路公団、本州四国連絡橋公団、地方道路公社又は道路管理者が管理する有料道路の料金は、道路整備特別措置法(昭和三十一年法律第七号)に基づき、国土交通大臣の許可又は認可を受けることとされている。

二及び三について

 「ノンストップ自動料金支払いシステム」(以下「ETC」という。)の利用のために必要なETCカードの発行に当たっての審査を行う主体は、ETCカードの発行の申込みを受けてETCカードを発行するそれぞれのクレジットカード会社であると承知している。なお、当該審査は、極めて専門的かつ技術的な性格を持つものであることから、必要なノウハウや経験を有する民間会社を活用することには合理性があるものと考えている。

四について

 御指摘の「ETC利用者に特化した多様な料金施策」は、ETCが料金所周辺の渋滞の解消及び環境の改善等の様々な目的の達成に資するものであることから、その普及の促進を図ることを目的として実施することとされているものである。
 また、ETCの利用のために必要なETCカードの発行を受けるに当たっては、御指摘のようにクレジットカード会社による「支払の確実性を担保するための審査」が行われる仕組みとなっていると承知しているが、このような現行の仕組みは、料金の後払いによる通行を認めるというETCの特性に応じて採られている措置であるところ、例えば、あらかじめ利用者から相当額の保証金を利用実績等に応じて徴収する仕組みもこのような措置として考えられるが、利用者の利便性やその導入等に要する経費等の点で必ずしも合理的なものではなく、現在のところ、ETCの円滑な運用を確保することが可能な仕組みとしては、現行の仕組み以外に合理的なものが考えられない状況であると承知している。なお、ETCのより一層の普及の促進を図るため、ETCの普及の状況及び今後のETCの改良計画等を勘案しつつ、今後とも、現行の仕組みに代わる何らかの方策の導入の当否が検討されていくものと承知している。
 他方、先の答弁書(平成十五年三月四日内閣参質一五六第四号)十についてで述べたとおり、ETCを利用できない者でも利用可能なハイウェイカードについては、その偽造が社会問題化しており、これまでの偽造防止対策を施した新型カードの販売等の対策にもかかわらず、新たな偽造カードの使用及び流通が後を絶たない状況であることから、五万円及び三万円の高額のハイウェイカードについて、今般廃止されることとなったものと承知している。
 このような現状における諸般の事情を勘案すれば、結果的にETCを利用できる者と利用できない者との間で料金が異なるような場合が生ずることは、合理性のあるやむを得ない事情によるものであって、御指摘のように憲法第十四条第一項に反するものとは考えない。

五及び六について

 各大臣の認可に係る公共料金について調査した限りでは、お尋ねのような例は存在しないが、四についてで述べたような事情により、「ETC利用者に特化した多様な料金施策」が憲法第十四条第一項に反するものとは考えない。