質問主意書

第156回国会(常会)

答弁書


答弁書第三号

内閣参質一五六第三号
  平成十五年三月十八日
内閣総理大臣 小泉 純一郎   


       参議院議長 倉田 寛之 殿

参議院議員山下八洲夫君提出JR東労組の役員逮捕、家宅捜索及びJR東労組への革マル派浸透に関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。



   参議院議員山下八洲夫君提出JR東労組の役員逮捕、家宅捜索及びJR東労組への革マル派浸透に関する質問に対する答弁書

一について

 お尋ねの件については、捜査当局において、平成十四年十一月一日に被疑者七人を強要罪で逮捕し、関係箇所約七十箇所に対する捜索、被疑者の取調べ、証拠品の分析、関係者に対する事情聴取等所要の捜査を行ったものと承知している。
 なお、同月二十二日に、七人全員について同罪で東京地方裁判所に公訴が提起されたものと承知している。

二について

 警察においては、平成八年以降、日本革命的共産主義者同盟革命的マルクス主義派(以下「革マル派」という。)の非公然アジト十五か所を摘発しているが、これらのアジトの一部から押収した資料を分析するなどした結果、全日本鉄道労働組合総連合会(以下「JR総連」という。)及び東日本旅客鉄道労働組合(以下「JR東労組」という。)内における革マル派組織の存在を確認するなど、革マル派がこれらの組織に相当浸透している実態を解明しているものと承知している。

三について

 安全の確保は、公共交通機関である鉄道輸送にかかわるすべての関係者の基本的な責務である。今後、東日本旅客鉄道株式会社(以下「JR東日本」という。)に、鉄道輸送の安全に係る問題が出てくるのであれば、安全で安定した鉄道輸送の確保の観点から適切に対処してまいりたい。

四について

 お尋ねの件で逮捕された七人の中には、革マル派活動家とみられる者がいると承知しているが、現在、当該事件は東京地方裁判所に係属中であるので、具体的な事項については答弁を差し控えたい。

五について

 革マル派は、共産主義革命を起こすことを究極の目的としている極左暴力集団であると承知しており、これまでにも、火炎びんの使用等の処罰に関する法律(昭和四十七年法律第十七号)違反事件や対立するセクトとの間での殺人事件など多数の刑事事件を引き起こしているところである。また、革マル派は現在、組織拡大に重点を置き、党派性を隠して基幹産業の労働組合等各界各層への浸透を図っており、JR総連及びJR東労組への浸透もそうした組織拡大戦術の一環であると考えられる。
 なお、JR総連及びJR東労組という公共交通機関の労働組合における革マル派の動向については、公安の維持の観点から重大な関心を払っている。

六について

 革マル派の資金源には、機関紙の売上代金、同盟費等があるものと承知しているが、JR総連及びJR東労組がその資金源になっているおそれの有無については、今後の警察活動に支障を来すおそれがあることから、答弁を差し控えたい。

七について

 お尋ねの件については、現在、当該事件が東京地方裁判所に係属中であるので、答弁を差し控えたい。

八について

 一般論としては、暴力の行使や脅迫は、労働組合の正当な行為であるとはいえないが、お尋ねの件については、現在、当該事件が東京地方裁判所に係属中であるので、答弁を差し控えたい。

九から十一までについて

 お尋ねの点については、JR東日本が適切に事業を運営していく上で必要となる労使関係をいかに構築していくかということを始めとする同社の経営上の問題であるので、政府として答弁する立場にない。

十二について

 安全の確保は、公共交通機関である鉄道輸送にかかわるすべての関係者の基本的な責務である。この点については、国土交通省においても、従来から安全を確保するための適切な取組を行ってきたところであり、JR東日本に対しても、例えば平成十二年以降の三年間に、鉄道輸送の安全確保に関し、鉄道運転事故や輸送障害等に対し、文書により計九件の厳重注意や再発防止の指示等の指導を行ってきたところである。今後とも、鉄道輸送の安全の確保に万全を期してまいりたい。

十三について

 JR総連加盟の労働組合でJR東労組以外のものへの革マル派の浸透実態については、現在、警察等において鋭意解明に努めているものと承知している。