質問主意書

第156回国会(常会)

質問主意書


質問第四三号

中小企業等に対する特許関係料金の減免措置等に関する質問主意書

右の質問主意書を国会法第七十四条によって提出する。

  平成十五年七月二十二日

木俣 佳丈   


       参議院議長 倉田 寛之 殿



   中小企業等に対する特許関係料金の減免措置等に関する質問主意書

 特許法等の一部を改正する法律に対する附帯決議(平成十五年五月十五日参議院経済産業委員会)の二において、「我が国産業の基盤である中小企業者やベンチャー企業を支援する観点から、海外の減免措置制度の状況なども勘案し、個人を含めた中小企業に対する特許関係料金の使いやすい減免措置等、支援体制の強化及び支援措置の周知徹底に努めること。」とされている。しかるに最近の特許庁の見解によれば、新たな中小企業、ベンチャー支援対策は、出願前における先行技術調査を全件無料で特許庁が行うことであるとしている。しかし特許庁は全国に一か所しかなく、全国に散らばる出願希望者の先行技術調査を適確に行うことは事実上不可能である。適確な先行技術調査を行い、適確な出願へと導くためにはその前提として出願希望者に対する綿密なヒアリングが不可欠である。
 そこで、以下質問をする。

一 前記先行技術調査を特許庁が行うことは事実上不可能である。これを全国にある社団法人発明協会を通して行おうとしているとのことであるがこれは本当か、見解を示されたい。

二 先行技術調査を社団法人発明協会が行うとしても発明協会にもそのような人員は現在のところ不在であるが、この人員は現在特許庁からの依頼により、審査請求後に先行技術調査を行っている財団法人工業所有権協力センター(IPCC)のケースと同様に大企業からの出向社員で賄う予定か、見解を示されたい。

三 大企業からの出向社員で調査員を賄うのであれば、こういったやり方は特許庁の天下りポストを増やすためのものであると同時に、中小企業、ベンチャー支援と言いながら、直接的には大企業へお金が回る大企業支援となってしまうと考えられるが、見解を示されたい。

四 社団法人発明協会が出願前の先行技術調査を全件無料で行った場合に特許庁が負担する予算を示されたい。

五 出願前の先行技術調査結果は、現在出願明細書中にも記載しなければならず、出願前の先行技術調査は現在のところすべての特許事務所で行っているが、これを特許庁が中小企業に関するものは全件無料で行うことは、民業圧迫の最たるものであり、特許事務所における一連の適切な出願作業に深刻な影響を及ぼすと考えられるが、このことについて見解を示されたい。

六 個人を含めた中小企業に対する特許関係料金の使いやすい減免措置は、平成十五年五月二十一日に平沼経済産業大臣へ提出された署名活動書にもあるように、米国におけるスモールエンティティー制度とほぼ同様のものを採用すればいとも容易に実現され得ると考えられる。前記先行技術調査を無料で実施する予算もありながら、なぜ多くの中小企業が希望する減免措置は実施されないのか、その見解を示されたい。

七 個人を含めた中小企業に対する特許関係料金の減免措置は現在もあり、前記の附帯決議にも盛り込まれたにもかかわらず、使いやすいものとするためにその枠を広げる(法人税非課税制限撤廃、設立経過年度制限撤廃)だけのことがなぜできないのか、その見解を示されたい。

  右質問する。