質問主意書

第156回国会(常会)

質問主意書


質問第三五号

徳山ダムに関する質問主意書

右の質問主意書を国会法第七十四条によって提出する。

  平成十五年六月十二日

中村 敦夫   


       参議院議長 倉田 寛之 殿



   徳山ダムに関する質問主意書

 水資源開発公団は、岐阜県揖斐郡藤橋村の揖斐川上流部において、利水を主目的とする徳山ダムを建設中である。
 徳山ダムの利水計画によると、愛知県、岐阜県及び名古屋市が利水予定者とされている。
 しかし、いずれの利水予定者も、徳山ダムを利用した具体的な利水計画を有しておらず、徳山ダムからの取水・導水計画も有していない。
 また、徳山ダム建設による環境破壊も懸念されている。
 したがって、徳山ダムの建設が続行されていることに、強い疑念を抱かざるを得ない。
 以上の観点から、次の事項について質問する。なお、同様の文言が並ぶ場合でも、各項目ごとに平易な文章で答弁されたい。

一、「特殊法人等整理合理化計画」(二〇〇一年十二月十九日閣議決定)(以下「特殊法人整理計画」という。)によると、水資源開発公団の施設建設及び管理事業については、「新規利水の見込みが明確でない実施計画調査中の事業の中止、実施中事業の事業規模の縮小等を図る」とされている。
 徳山ダムは、いずれの利水予定者も具体的な利水計画及び取水・導水計画も有していないことから、「新規利水の見込みが明確でない」「実施中事業」に該当すると思われるが、既定計画どおりに建設が続行されている。
 徳山ダムについて、特殊法人整理計画に基づき、だれが、いつ、どのようにして見直したのか。政府内部における徳山ダム見直し作業の概要及び経過を示されたい。

二、特殊法人整理計画の閣議決定後、愛知県、岐阜県及び名古屋市に対し、徳山ダムによる新規利水の必要性及び揖斐川からの新規導水計画の有無について、それぞれ確認をしたか。確認をしたならば、その経過及び結果を示されたい。確認をしていないならば、なぜ確認をしなかったのか、理由を示されたい。

三、特殊法人整理計画の閣議決定後、徳山ダムから受水予定の水道事業者である市及び町に対し、水道需要予測及び水道事業計画について、それぞれ確認をしたか。確認をしたならば、その経過及び結果を示されたい。確認をしていないならば、なぜ確認をしなかったのか、理由を示されたい。

四、特殊法人整理計画の閣議決定後、岐阜県及び名古屋市に対し、徳山ダムの新規開発水を水源とする工業用水利用計画の有無について、それぞれ確認をしたか。確認をしたならば、その経過及び結果を示されたい。確認をしていないならば、なぜ確認をしなかったのか、理由を示されたい。

五、岐阜県は、岩屋ダムによる工業用水の開発水を利用していない。当該工業用水の需要がないため、岐阜県は、正規の工業用水道事業・工業用水道会計を設置できず、岩屋ダム建設費償還分の全額を一般会計からの支出で負担した。「衆議院議員石井紘基君提出徳山ダムの水源開発に関する質問に対する答弁書」(二〇〇〇年十二月五日提出)によると、こうしたずさんな例は、岩屋ダムを除いて存在しない。
 特殊法人整理計画の趣旨を踏まえると、徳山ダムと岩屋ダムの供給対象地域が異なるとはいえ、未利用水を大量に有する岐阜県に対しては、徳山ダムによる新規利水を認める前に、未利用となっている岩屋ダム水源の活用を求めるべきではないか。

六、特殊法人整理計画の閣議決定後、徳山ダムにおける岐阜県の工業用水水利権について、岩屋ダムの未利用水の存在を踏まえて、見直しを行ったか。

七、現行の木曽川水系フルプランについて、目標年の二〇〇〇年を過ぎているため、早急な改定が必要である。本フルプランの改定作業について、経過及び現状を示されたい。また、いつ改定作業を終える予定なのか、併せて示されたい。

八、特殊法人整理計画によると、水資源開発公団のフルプランについては、「水の需給計画と実績に関し、計画の根拠となる経済成長率等を含めた計画と実績の対比、計画と実績が乖離している場合にはその要因を含め、定期的に情報公開する」と定められている。
 現行の木曽川水系フルプランは、「計画と実績が乖離している」と思われるが、どうか。また、特殊法人整理計画に定められた「情報公開」をする予定は、いつか。

九、特殊法人整理計画によると、水資源開発公団のフルプランについては、「需給計画と実績とが一定程度以上乖離した場合には、計画を見直すことをルール化する」と定められている。
 この「ルール化」の完了する予定は、いつか。

十、特殊法人整理計画によると、水資源開発公団のフルプランについては、「需給計画と実績とが一定程度以上乖離した場合には、計画を見直すことをルール化する」と定められている。
 この「ルール化」に際し、「水の需給計画と実績」の乖離を指摘してきたNGO及び学識経験者の意見を聞くべきだと考えるが、どうか。聞く予定であれば、その方法と時期を具体的に示されたい。また、聞く予定がないのであれば、その理由を示されたい。

  右質問する。